30代技術士の成長記録

令和元年度技術士二次試験に合格した30代技術士(機械部門)の成長記録です

技術士二次試験 口頭試験対策 基本編

 技術士二次試験の筆記試験が行われてから2週間が経とうとしています。口頭試験はまだ大分先のように感じますが、筆記試験の合格発表を確認してから準備するのでは少々遅い気もします。私も筆記試験合格後から本格的な準備を始めましたが、それは合格の確証が得られなかったからです。今思えばその考えは間違っていたと断言できます。なぜなら準備期間が足りなかったからです。筆記試験の延長と考えていると痛い目を見ます。そして口頭試験に進めなかったとしても、来年再来年があります。いずれ技術士になるつもりがあるようでしたら、口頭試験は避けては通れません。今準備しても決して無駄にならないはずです。

 既にそのような心持の方向けに、口頭試験対策を公開します。今回は基本部分、概要です。詳細は追加で公開予定です。

 

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技術士二次試験 口頭試験とは

 技術士二次試験は筆記試験と口頭試験の2段構えです。筆記試験を合格した者のみ口頭試験の受験資格が与えられ、これを合格した者が技術士になる資格を得られます。つまり技術士になるための最終関門です。通常11月下旬~1月中旬までの間に部門ごとに試験が行われます。令和2年度は筆記試験の延期がありましたので、2月上旬~3月中旬の間で行われます。筆記試験に合格して口頭試験不合格だった場合、翌年以降はまた筆記試験を受ける必要があります。合格率が高いこともあり、確実に合格したいところです。

合格率

 合格率は部門によってばらつきがあります。機械部門は75.7%でした。全体では70~80%だと思っておけばいいです。つまり4~5人に1人が不合格になる計算です。この数字は正直高いと思いますよね?でも実際はどうでしょう。あなたの筆記試験の得点は全筆記試験合格者の中でも最低点だったとします。その場合、かなり高い確率で口頭試験不合格者20%に含まれてしまうのではないでしょうか。口頭試験は筆記試験を通過した強者が受験するため、合格率は高くて当たり前です。 筆記試験の受験者の中には、2部門目の受験者や前年度の不合格者など、初めて受験する方よりもアドバンテージを持った方々がおられます。そういう受かるべくして受かる方々を除くと、不思議なことに不合格になる確率って意外と高くなるんです。

 

合格へのポイント

 それではどのようにしたら合格率を上げることが出来るのか?それは適切な対策を行いしっかり準備することです。口頭試験は加点式とされています。すなわち、試験官は合格させるつもりで私たちを見ています。どうしたら加点が上手くいくのか?を軸に私の口頭試験対策を公開したいと思います。

 

1.合格基準を知る

 加点式といっても評価項目と配点を知らなければ加点を狙いようがありません。まずは下記を見てみましょう。

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 全ての項目において60%以上で合格です。配点は時間配分を意味していると思われます。口頭試験は質問毎に点数がつけられ、制限時間内の合計点数が合格点を上回ればいいのです。試験時間の延長可というのは、仮に継続研鑽で加点が合格点に届かなかった場合は、延長して追加の質問をするよ、と捉えてください。ですから20分以内に試験が終わらなかった場合は、かなりギリギリのラインだと思ってください。逆にそこまでしても合格させようとしてくれると思い、延長分の質問に対しては確実に回答していきたいです。体験談を見ていると明らかにある項目に関して加点が見込めないと分かった時点で、他の質問を飛ばして不合格になるケースもあるようです。よって早く終わったからと言って合格の確率が高いという訳でもありません。

2.試験に必要な勉強方法を知る

 口頭試験の試問事項は先述した通りですが、まず前提として業務経歴書の存在を忘れてはいけません。大抵の場合、口頭試験の最初に「業務経歴や業務内容の詳細を教えてください」と質問が来ます。何故かというと、経歴や業務内容の詳細は初対面の方に伝わり難いからです。例えば私が720字で業務経歴を書いたとして、それを読んだあなたは私が技術士としてふさわしいか判断できるでしょうか。出来るなら口頭試験など必要ありません。

 簡単に言えば、口頭試験は業務経歴書や業務内容の詳細を補足する場であると認識します。加点はすでに経歴書を復唱しただけでできているかもしれません。逆にこの記事を見るまで経歴書や業務内容の詳細を適当に書いて後悔していた方、今からでも遅くありません。見直しましょう。

 口頭試験で説明する業務経歴及び業務内容の詳細は、多少内容を変更しても問題ありません。詳しくは後で説明しますが、加点に必要な要素を盛り込みましょう。

 

 最初の説明が終わったら、いよいよコンピテンシーに関する質問が来ます。勉強方法としては

①質問内容を予想する。

②①に対する回答を作成する。

です。

①②ともにまずはコンピテンシーについて理解することから始めましょう。以下の記事を参考にしてください。

 

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3.アウトプットの場を設ける

 口頭試験は加点式ですが、加点の機会が得られなければそれまでです。例えば20分の内、技術者倫理は4分程度の時間です。ここであなたならいくつ試問があると思いますか?2問でしょうか?3問でしょうか?答えはあなた次第です。

 質問内容が分かりにくい、前置きが長いなど試験官によって当たりはずれはあるかもしれませんが、基本的には10~20秒ほどの質問が来ます。ここでいかに簡潔かつ的確に即答できるかが重要なのです。採点方式は正答率ではありませんから、回答数が多ければ多いほど有利です。

 基本的には回答を準備しているとはいえ、変化球(想定していた質問を少し変えたような質問)が来た場合でも冷静に対処することが重要です。対策としては、実践の場(アウトプットの場)を設けることです。口頭試験は落とせないというプレッシャーもあり、かなり緊張します。大前提として、模擬試験を受けることをお勧めします。

 

以上を纏めると、

①業務経歴及び業務内容の詳細を見直し、必要に応じて変更、補足を追加

②コンピテンシーに関する回答を準備する

③回答を暗記する

④アウトプットの練習をする

です。

 

最後に

 今回は口頭試験の基本・概要について説明してみました。次回から詳細解説等公開していきます。

・口頭試験の具体的な流れ

・想定問答集の作成

・アプトプット対策

・私の口頭試験実例  等

  

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 私の記事を参考にしていただいても構いませんが、口頭試験は対策本が出ています。予算的に問題なければいくつか読んでみることをお勧めします。

 

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑨

 今回は技術士二次試験の合格体験記第9回になります。前回は筆記試験終了後をどう過ごしていたかを記事にしました。今回は合格発表の前後になります。引き続き最後まで目を通していただき、受験勉強の参考にしていただけたら幸いです。

 

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その①

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その②

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その③

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その④

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑤

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑥

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑦  

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑧

 

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 筆記試験合格発表

 10月下旬に差し掛かり合格発表が近づいてきた。正直言うと合格発表がある直前まで業務多忙で合格発表を忘れていた。というか過去一番合格発表を見るのが怖かった。そもそも合格率が低いというところから、自分の手応えをどこまで信じればいいかわからなかったからだ。無意識のうちに、その日の存在を忘れようとしていたのかもしれない。

 ネットで情報を集めると、合格発表は早朝(5時50分)とのこと。私の場合はtulipianさんのブログで知った。

 

  正直言って前日になると実感が湧いてきてあまり眠れない。合格していた時と不合格だった時でどのように1日を過ごすかとか、誰に報告するかとか、しまいには何を食べようかとかどうでもいいことを考える始末。2時ごろ寝て、5時ごろ起きた。そこから合格発表まではあっという間だった。5時50分ごろ技術士会のホームページを覗いてみると、合格発表が掲示されていた。機械部門の機械設計は一番上で分かりやすい。

 私の心配をよそに受験番号はちゃんとあった。正直驚いたが、夢でないことを確認すると、朝食の支度をしに起きてきた妻に報告した。喜んでくれた勢いで、口頭試験の模擬試験の受験を相談したら快くOKしてくれた。少々卑怯な手を使ったが、合格したら目一杯家族サービスするつもりだ。

 

 後で冷静になって合格発表を眺めてみると、筆記試験の合格率は昨年より低かった。一昨年不合格だった方も含め、必須科目の対策が初めてだったことも要因の一つかと思われる。ちなみに私の前後数人は不合格だった。見た目から私よりも経験の豊かな方々で、落ちるとしたら私だろうと思っていたため、少々驚きだ。(機械部門は昨年28.4%、今年は25.6%)

 

 朝一で合格発表を上司に報告した。技術士合格おめでとう!と言ってもらって、いえ未だなんです。。。というやり取りを他の方とも何回もして落ち着いたころ、筆記試験の論文添削を依頼していた有料講座から、口頭試験の講座案内が送られてきた。私は受講料に多少震えながらもすぐさま申し込みを行った。10月末に合格発表があってから、最短で11月末に口頭試験が行われる。口頭試験は年内に総合技術監理部門以外のすべての部門の受験生が受験する。私は運がいいのか12月下旬だった。どうやら部門毎に固められているようだ。今回からコンピテンシーに沿って採点されるとのことで、質問の形式がどのように変わるかがポイントだった。

   

 少し遅れて合否通知が送られてきた。結果は全てA判定だった。素直に嬉しかったが、ぎりぎり60点の科目があるかもしれない為、いつか点数の開示請求をしてみようと思う。事前情報通り、口頭試験の会場はフォーラムエイトだ。後で後悔したが、この時点で出来れば宿を予約しておくべきだったと思う。2週間前に予約しようとしたら近隣のホテルは全て埋まっており、空いていても1泊2万円以上の部屋ばかりだ。他の合格者の方も同じように考えているとは思うが、いくら近隣でも雪などにより公共交通機関が麻痺することも考えられるため、なるべく前日入りすることが望ましい。そのようなリスク対策も技術士としての資質として必要だ。

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写真.合格発表通知書

 

模擬試験の受講

 11月の中旬ごろに、有料講座の模擬試験に参加した。模擬試験はスクーリングやテキスト込みで6万円ほど。少々お高いが、先に言っておくと必要な出費だったと思う。

 模擬試験では、現役の技術士の方の指導をうけた。私の業務経歴書を読んだ上で質問をされるため、まず私が技術士にふさわしいかどうか客観的な意見が聞けた。2回の模擬試験を行い、1回目の模擬試験は合格ライン。2回目の模擬試験は不合格の判定。1回目と2回目の違いは明らかだった。

 まず1回目はわざと私に有利になるような質問をしてくれたこと。例えばSDGsに関連する質問に関しては、ある意味対策しやすく誰でも回答を事前に用意していただろう。私も難なく答えることが出来た。さらに、私の経歴に関しては重箱の隅をつつくような苦しい質問はなく、ホワイトボードでの説明も求められなかった。

 2回目は1回目とちがい、対策しにくい機械部門の基礎知識に関する質問。そしてホワイトボードを使った回答を求められ、終始高圧的な態度。プレッシャーにより焦りも出る。

 講師の方からの情報によると、まず私の年齢や経歴を見て経験が浅いと思う試験官は多く、経験の浅い人間がふるいにかけられ落とされる傾向があるとのこと。私は20分という短い時間の中で、そのイメージを払拭しなければならない。もしかしたらあえて落とすために意地悪な質問が来る可能性もあるようで、それを肝に銘じ想定問答集を作り上げた。※後日口頭試験対策として想定問答集を公開したいと思う。

実際の口頭試験

 11月下旬になり令和元年度の口頭試験が始まった。ある情報筋から今年の受験様式が前年度からどう変わったのか?を知ることが出来た。はっきり言って驚いた。有料講座ではほとんど前年度とは質問内容は変わらないとのことだったが、大きく変わっていたのだ。例えば、コンピテンシーに対して回答するよう予め前置きがあり、採点基準を明確にしている印象だ。逆に言えば、質問を予想しやすい。自分の試験日までは1か月ほどあるため、対策を練ることにした。詳細は口頭試験対策を参考にしてほしい。(近日中に公開予定)

 

その⑩へ続く

 令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑩

 

 

令和二年度技術士二次試験 筆記試験の振り返り

 先日行われた技術士二次試験の筆記試験。昨年から総監部門を除いて全て論述試験となりました。本年度受験された方は、昨年よりも情報が多くて対策し易かったのではないでしょうか。それでは今年の問題を振り返ってみたいと思います。

 

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総括

 今年は新型コロナウイルスにより試験が延期されました。これにより試験問題にコロナウイルス感染予防や感染拡大時のものづくりの在り方などが問われる問題がでるといった情報も耳にしました。個人的には、問題は延期前にある程度作っているため、出題はないと踏んでいました。結果はその通りでしたね。

 しかし、来年はわかりません。2020年度版ものづくり白書は新型コロナウイルスや災害などがもたらす不確実性について、採るべき戦略を示しています。来年向けてすでに動き出している方々は、まずものづくり白書を読みましょう。

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 また、本年度の口頭試験においてはコロナウイルス対策を盛り込んだ対策が望ましいです。詳細は口頭試験対策で触れていきたいと思います。

 各部門ごとに問題の難易度は様々かと思います。私は機械部門・機械設計の技術士ですが、今年度の試験問題は昨年とほぼ変わらない難易度のように感じました。

 それでは本年度の必須Ⅰ~選択Ⅲまでを簡単に見てみましょう。

必須Ⅰ-1:少子高齢化社会に求められる技術伝承の変革について

必須Ⅰ-2:エネルギー社会の実現について

選択Ⅱ-1-1:付加製造(Additive Manufacturing:AM)方式2点の特徴と留意点

選択Ⅱ-1-2:標準化に用いられる標準数の特徴と利点

選択Ⅱ-1-3:溶接構造物及び溶接接手設計時の留意点

選択Ⅱ-1-4:環境配慮設計(DfE)について、設計段階における3Rと事例、留意点

選択Ⅱ-2-1:新製品開発時のコンカレントエンジニアリング実施について

選択Ⅱ-2-2:新製品開発時のマルチマテリアル設計の推進について

選択Ⅲ-1:モビリティサービスの向上について

選択Ⅲ-2:CAEを扱う設計技術者育成について

 

 もし仮に私が今年受験するとしたら、赤字の問題を解答していたと思います。今年の問題は、昨今の課題や技術レベルに合わせた問題が出題されました。例えば、AMは最近産業機械の分野でも使われるようになってきたばかりですね。私は家にFDM方式の3Dプリンタを持ってまして、ある程度知識を蓄えていますが、それも上記のような時代背景あってのことです。最新技術は普段の業務で触れないことも多いはずなので、業務外で積極的にその機会を作らなければなりませんね

 話がそれましたが、他にもエネルギー社会の実現やDfEは、持続可能な社会づくりには必須の考え方です。そしてCAE教育は、技術伝承において最も重要と思われるデジタルツールの活用に当てはまります。

 

 それでは各問に対する解説を以下に記します。

 

論文作成例

必須科目Ⅰ-1

 我が国において、短期的には労働力人口は著しく低下しないと考えられているものの、女性や高齢者の労働参加率の向上もいずれ頭打ちになり、長期的には少子高齢化によって労働力人口が大幅に減少すると考えられる。一方で、「ものづくり」から「コトづくり」への変革に合わせた雇用の柔軟化・流動化の促進、一億総活躍社会の実現といった働き方の見直しが進められている。このような社会状況の中で、実際の設計・開発、製造・生産、保守・メンテナンス現場におけるものづくりの伝承については、現場で実務を通して実施されている研修と産学研修・集合研修をいかに組み合わせるか等の、単なる方法論の議論だけでなく、より広い視点にたった大きな変革が求められている。このような社会状況を考慮して、機械技術者の立場から次の各問に応えよ。

(1)今後のものづくりにおける技術伝承に関して、機械技術全般にわたる技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を一つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)上記すべての解決策を実行したうえで生じる波及効果と新たに生じる懸念事項への対応策を示せ。

(4)業務遂行において必要な要件・留意点を機械技術者としての倫理、社会の持続可能の観点から述べよ。

解説:まずは問をすべて眺めてみたときに、問題文から抽出できる課題から技術者倫理へとつなげるためのキーワードを探してみます。まず問題文から読み取れるキーワードは少子高齢化・働き方改革・技術伝承ですね。そして持続可能性のために最終的に必要なキーワードはナレッジマネジメントシステムですね。要するに昨今の社会情勢を鑑み技術伝承を確実に行うためには、技術を最終的に有形物に残すことが重要であるとアピールします。古くから暗黙知によって伝承されてきた技術を形式知化することの重要性を訴えます。流れとしては以下の通り。

(1)技術伝承の課題:デジタルツールの活用、暗黙知の収集、産学官連携(オープンイノベーション)とする。

(2)最も重要な課題:デジタルツールの活用をとする。解決策:①デジタル人材の確保②変革にかけるリソースの確保(通常業務もIoT、AIなどのツールを利用し、省力化)③CAEツールの導入などインフラの整備

(3)波及効果:生産性向上による働き方改革の促進。懸念事項はデータを扱うことで企業情報が漏れるなどのセキュリティインシデントの発生。対策:「IoT開発におけるセキュリティ設計の手引き」を活用し、セキュリティ設計に関する知識を身に着ける。

(4)必要な要件:ナレッジマネジメントシステムを構築し、企業に所属する人間がいつ、誰がどこにいても形式知を活用できるようにする。留意点:災害などにより自社が被害にあった場合、データが消失し持続可能性が失われる。クラウドシステムを利用し、データ保護に努める。暗黙知を整理するためにはFMEA、FTAなどを行い、設計資料を残すことが重要。

 

選択科目Ⅱ-1-1

 付加製造(Additive Manufacturing:AM)は、積層造形、3Dプリンティングなどとも呼ばれる一連の技術を包含した加工法を指す。AMの方式を2つ挙げ、それぞれの特徴と留意点について述べよ。

解説:キーワードの説明だけでは及第点。出来る限り自身の業務で関連する製品を具体例として用い説明することが望ましいです。例えば、私の場合は産業機械(具体的な製品は伏せます。すみません。)でどのように活用しているかを述べます。解答としては以下のようなイメージ。出来れば図が書けるといいですね。

(1)AM方式2つ:光造形方式、熱溶解積層方式

(2)光造形方式:光硬化タイプの液体樹脂に対し、紫外線を当て、一層ごとに樹脂を硬化させながら立体物を造形する。特徴:他に比べて大型の造形物を出力できる。産業機械用の組立治具などに応用可能。留意点:太陽光によって変形・ひび割れが発生する可能性があるため、太陽光の当たらない場所にて保管する必要がある。

  熱溶解積層方式:熱可塑性樹脂(PLA、ABSなど)を融解させ、細いノズルの先端から融解した樹脂を吐出し、積層する造形方式。特徴:他と比べて安価なため導入用に適している。さらにPLAはバイオマスプラスチックであり、環境にも優しい。強度的にも優れており、試作テストに使用できる。産業機械の試作時に活用することで、環境配慮設計及び開発リードタイム短縮などの効果が期待できる。留意点:寸法精度が粗く、表面に凹凸が出来るため美観が悪く営業サンプルに使うには不向きである。

 

↓過去に3Dプリンタに関する記事をまとめました。

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選択科目Ⅱ-2-1

 あなたは新製品開発のリーダーとして開発全般をとりまとめることになった。開発を効率的で合理的なものとするため、コンカレントエンジニアリングを実施しようと考えている。新製品開発を進めるに当たって、下記の内容について記述せよ。

(1)開発製品を具体的に1つ示し、どのようにコンカレントエンジニアリングを実施するかを明確にして、調査、検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)コンカレントエンジニアリングを進める手順について、留意すべき点、工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的、効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

解説:選択科目Ⅱ-2は過去の経験を元に論文を書けないとなかなか厳しいですね。逆に、そのような経験に加えて技術士に求められるコンピテンシーを示せば合格論文です。またⅡ-2は2枚論文なので、1問当たり2/3枚解答の配分です。配分が最も難しく、解答が書ききれない場合も多いです。冗長文にならないよう意識しましょう。この問題におけるキーワードはコンカレントエンジニアリングです。筆記試験における重要キーワードの一つですが、実際にそのシステム構築をした方ってどれくらいいるんでしょう?意外と難問かもしれません。流れとしては以下の通り。

(1)開発製品は****とする。具体的な製品開発の流れを図示する。コンカレントエンジニアリング(以下CE)は設計から製造までが開発情報を共有し同時並行的に進める手法。フロントローディングを目指すため、開発初期から開発情報を常に情報共有できるシステムを構築する。

 他部署と共有するためにも、開発製品に関する共有情報を明確にしなければならない。調査項目は市場ニーズ、コスト、開発時期など。検討すべき事項は情報の共有方法。スピード感が大事であるため、口頭、メールや打ち合わせなどの定期的な発信ではコンカレントエンジニアリングの実現は難しい。具体的な内容としては3Dデータ、PDMを導入する。

(2)留意点:3Dモデルデータの作成は高価なCADツールや高スペックパソコンが必要となる場合がある。また自社用に図枠データを準備する、モデリングルールの設定など始めるまでに時間を要する。IT部門と協力しスピード感を持って進める。工夫点:産業機械には意匠性を必要としないケースが多々ある。不要なステータスを排除しても問題なければ、ミッドレンジの3DCADを導入するという手段もある。PDMを運用するに当たり必要な情報は各部門からの情報を集約し決めることで、手戻りによるコスト増を防げる。

(3)調整方策:PDMにより情報共有が容易になり開発スピードの向上が見込める。しかし情報共有だけでではトレードオフの解消は難しい。これにより開発進捗に遅れがでることもある。よって関係者間の調整方策としてDRを用いる。DRを実施する場合は、各開発フェーズ毎に必要な人材を招集する。※DRの実施手順を図で示す。

 DRを実施する上での注意点を示す。(設計の場合、相手が納得する信頼性評価のデータを示す、QFDを用いて意思決定にニーズを確実に反映させるなど)

 

選択科目Ⅲ-2

 開発コストの削減や設計サイクルが短期化し、CAEによるシミュレーションは設計開発においてはなくてはならないツールとなっている。複雑なシミュレーションは硬度な技術を有する専門のCAE技術者に頼る必要があるが、ハードウェアとCAEソフトウェアの発達により、簡単な構造解析であれば設計者自身でも容易にCAEを実施することができるようになっている。このような状況を踏まえ、CAEの出来る設計技術者を育成するリーダーとして、以下の問いに答えよ。

(1)CAEの能力を備えた設計技術者を育成し、信頼性の高いシミュレーション結果を得るための課題を多面的な観点から抽出し、その内容を観点とともに示せ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ、その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策を実行したうえで生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

解説:CAEはデジタルエンジニアリングに含まれ、技術伝承においても重要なキーワードです。今回は開発リードタイムの短縮が設計業の課題であり、設計開発において重要な役どころであることが問題文に記載されています。普段業務で利用している方にとっては簡単な問題だったかもしれません。しかしCAEは専門性が高く、普通はこの問題を選ぶか迷います。他の問いと同じく育成者の立場に立ったことが無くても、自分の有している知識や経験でその視点に立った解答が出来ればいいと考えます。流れとしては以下の通り。

(1)CAE技術者育成のための課題:(設計者の観点)解析条件を正しく設定し、得られた結果を正しく評価する。(指導者の観点)専門性が高いため、十分な経験や知識を有している設計者を育成する。(設備の観点)解析用途に合わせた適切なツールの用意。

(2)最も重要な課題:(設計者の観点)解析条件を正しく設定し、得られた結果を正しく評価する。対策:①応力解析の場合は材料力学を学習する。解析の条件設定や結果を見る際は、まず言葉の意味から値の妥当性、算出すべき計算結果などの理解が重要。また解析対象物が簡易的なモデルの場合は、手計算などの結果から妥当性の確認が可能。②有限要素法を理解する。特にメッシュの概念と切り方を理解する。③ツールの使い方を覚える。CADと同じく操作を覚えなければ正しい条件設定は出来ない。開発リードタイムの短縮を狙うなら使いこなす必要がある。

(3)波及効果:CAEを扱うことで材料力学や流体力学などの専門知識を身に着けることが可能。根拠を持って設計を進めることで、QCDにおいて大きな効果が期待できる。またDR時に資料として提出することで、設計承認を得られやすい。結果、開発期間が更に短縮できる。懸念事項:結果が必ずしも正しいとは限らない。最終的には実物による評価が必要。開発期間を短縮するためにもAMを用いて試作する。

 

最後に

 上記は文字数を一切無視して作成しました。実際はもっとキーワードに対する詳細説明が必要です。また図が書けなかったので、もう少し分かりやすく説明できる部分もあるかと思いますが、とりあえずここまでにしておきます。しかし改めて問題を見てみると、技術士二次試験は難しいですね。元々知っている知識や普段から気にしている話題に関連した問題でも、いざ問われると答えが出てこないものです。少なくとも自分の専門分野においては、広く浅くではなく、広く深く知る必要があると痛感しました。

 正解は一つではないと思いますので、ご自身の専門分野に照らし合わせて論文を作っていただけたらと思います。

【技術士補】技術士一次試験 合格のためのポイント【機械部門】

 先週末は技術士二次試験が行われました。受験された方は一息ついているところだと思います。実は例年この時期は技術士一次試験の直前です。秋はただでさえ資格ラッシュなんですが、技術士二次試験が延期になってしまったおかげで、他の資格情報に一切触れることなくここまで来てしまいました。ということで、今回は技術士一次試験の直前対策になればと思い、三年前に合格した私から合格のためのポイントをお伝えしたいと思います。また今年受験しない方、初めて知ったという方向けにもわかりやすく試験の概要を理解していただける内容となっておりますので、是非最後まで目を通していただければと思います。※試験に関する説明は日本技術士会の試験情報を引用させていただきました。

 

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 技術士一次試験とは?

 技術士一次試験とは、技術士になるための第一関門です。または技術士補になるための試験とも言えます。例年10月の上旬に行われます。今年(令和2年)は10月11日(日)です。ちなみに試験の申し込みは、6月中旬~7月初旬で今年は6月18日~7月1日でした。

 受験資格は特にありませんので、以前最年少合格者が小学3年生ということで話題になりました。技術士一次試験合格後、以下の条件を満たしていれば技術士二次試験を受験できます。

 ①技術士補に登録後、技術士補として通算四年を超える期間技術士を補助したもの

 ②技術士補となる資格を有した日から、科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、評価またはこれらに関する指導の業務を行う者の監督のもとに当該業務に従事した期間が通算四年を超えるもの

 ③科学技術に関する専門的応用能力を必要とする事項についての計画、研究、設計、分析、試験、評価又はこれらに関する指導の業務に従事した期間が通算7年を超えるもの

 経験年数7年以上であれば、技術士一次試験後すぐに技術士二次試験を受験できます。私はこのパターン。 

 

 

 科目は専門科目・基礎科目・適正科目に分かれております。専門科目は部門20毎に問題が異なりますが、基礎科目・適正科目はすべての部門で共通の問題となります。以下に3科目の概要を載せておきます。

 専門科目・・・受験者が予め選択する1技術部門に係る基礎知識及び専門知識を問う問題。機械部門の場合は4力と制御がメインです。

  基礎科目・・・科学技術全般にわたる基礎知識を問う問題。

 適正科目・・・技術士法第四章(技術士等の義務)の規定に係る基礎知識及び専門知識を問う問題。

 

 試験時間は専門科目が2時間、基礎科目・適正科目が1時間となっています。

 試験は全てマークシート形式です。実はここが結構合格のためのポイントだったりします。詳しくは後で説明します。

 

 合格のためにはすべての科目が50%以上である必要があります。科目合格はありません。地味にこれが辛い。

 

 合格発表は12月中旬、今年(令和2年度)は12月18日です。

 

技術士一次試験のポイント

受験部門の決め方

 受験部門は先述したように20部門あります。一次試験には総合技術監理部門がないため二次試験よりも一つ少ないです。20部門のうちどれを選ぶのがよいか?それは、あなたが一番得意とする分野の部門で構いません。何故このような言い方をしたかというと、技術士二次試験での受験部門とは一切関係が無いためです。仮に建設部門で技術士一次試験を合格したとしても、二次試験では機械部門を受験して大丈夫です。

 二年前までの技術士二次試験なら、一次と二次で異なる部門を受けることはお勧めしていませんでした。なぜなら二次部門でも同じような専門科目(必須科目)があったためです。今は論述式となっており、一次試験の延長線上という感じでもなくなりましたね。よって自分が合格しやすい部門で受験すればよいと思います。

 

勉強方法

 基本的には、問題集を解く形になります。特に専門科目は計算問題が多いので、繰り返し解く訓練が必要です。私がお勧めするのは以下の参考書です。

です。

 

 

 

 

 

 専門科目は私の場合機械部門ですが、前述した通り4力と制御が中心の出題です。専門科目は35問中25問を選択して答える形式。そして50%以上の正答率。このことから確実に解ける問題が35問中13問あればいいことになります。技術士一次試験(機械部門)の受験者の多くが熱力学・流体力学・制御に手を焼くと思いますので、材料力学と機械力学は完璧な状態で試験に臨みたいです。特にこの直前の時期ではやれることは限られています。出来ることを確実に出来るようにする。これが重要です。

 最終的に技術士を目指すからと言ってすべての知識が完璧である必要はありません。なぜなら、機械部門なら選択科目がいくつか分かれていますので、該当する部分が完璧であればいいと私は考えています。(全く出来なくていいと言っている訳ではありません)

 一応熱力学・流体力学・制御の勉強のために使った参考書を紹介します。トコトンシリーズと絵ときシリーズはわかりやすくて、苦手意識のある方にお勧めです。

 

 

 

 制御工学は苦手な方が多い印象です。私も他分野に比べると苦手意識が強いです。苦手を克服したい!という方は是非「はじめての制御工学」を手に取ってみましょう。過去問の解説を見てもわからない、という場合にお勧めです。

 

 勉強時間

  私の場合は400時間です。これは多い方だと思いますね。過去問解く以外にも参考書を読む時間も含めています。よって初期学力次第でもっと短時間で合格出来ると思います。過去の記事にも書いていますので参考に見て頂ければと思います。

 

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関連資格

 他の資格の記事でも書きましたが、機械設計技術者試験特に2級の問題は、機械部門の専門科目と出題傾向が似てますので、同時に勉強することをお勧めします。資格も2つ同時にとれますので一石二鳥です。難易度は同じくらいです。私は同じ年に両方ともとりました。

 

 

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 最後に

 これはですね・・・あまり言いたくないんですが、マークシート形式の試験なので、問題が解けなかったとしても合格出来てしまうんですよ。大袈裟なこと言っていますが、例えば専門科目で25問中12問しか解けなかったとします。これでは不合格ですが、マークシート形式ですから適当に付けた番号が運よく当たっていたということもありますので、合格する場合もあります。残りの13問を適当に番号を付けたとして、5択の選択肢だと2、3問は当たってしまうということです。つまり10、11問確実に解けたら合格なんですよね。まぁ運も実力の内といいますが、とりあえず時間がない中で合格がしたいという方は、このような試験のからくりを考慮して、勉強時間そして試験時間を有効に使うことを考えたらいいのではと思います。

 ちなみに私は20問正解でした。出来る限り余裕を持って力を蓄え、試験に臨みたいですね。頑張りましょう。

 

 

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑧

 今回は技術士二次試験の合格体験記第8回になります。前回は筆記試験終了まででしたね。丁度今日は筆記試験だったので、とてもタイムリーな記事だと思います。引き続き最後まで目を通していただき、受験勉強の参考にしていただけたら幸いです。

 

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その①

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その②

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その③

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その④

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑤

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑥

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑦  

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筆記試験後にやるべきこと

 筆記試験終了後、帰宅途中問題を見直しながら、問題用紙の空白部分に書き記した骨子を見返し、頭の中で一人反省会を行った。正直言って自信がない点もあった。それはやはり空白行を作った論文だ。なるべく他の減点要素がないか?洗い出してみた。少なくとも題意に沿った回答は出来ているし、個人的にはキーワードも十分盛り込めたので、空白行があっても内容の濃い論文になったとポジティブに捉えることにした。ネタバレになるが、空白行残しの是非については以下の記事で私の見解を載せているので参考にしていただきたい。

 

chuckmechanicalpe.com

  あとは選択科目Ⅱ-1でキーワードとして使った無励磁作動形ブレーキを励磁作動形ブレーキと間違って書いていないか心配になった。何故なら骨子にそのように書いてあったため。誤記だと願いたい。

 最終的には家に帰ってから例の病気のこともあり気力がなかったため、再現論文は行わずに骨子だけ清書した。これは反面教師にしていただきたいが、テレビを見てくつろいだり酒を飲むのを次の日まで我慢した方が、あとで苦労しないで済む。私の反省も踏まえて筆記試験後にやるべきことを以下の記事に纏めたので参考にしてほしい。

 

chuckmechanicalpe.com

 

束の間の休息

 結局試験から数日かけて再現論文を完成させた。明らかに繋がりの悪いところがあったりして、やはり当日に再現をするべきだったと悔やむが時は戻らない。切り替えて、次の行動を考えるようになった。仮に不合格だったとしても、次につながる不合格にしたい。よってしばらくは筆記試験前に行っていた論文やキーワードの聞き流しを通勤時間に行う様にしていた。また、有料講座から再現論文の添削の案内が来ていたが、気持ち的には合格発表まで合否を知りたくないという何とも情けない理由で断ってしまった。特にデメリットはないので、予算的に問題なければ、再現論文の添削はしてもらった方が良い。何故なら、論文の是非は受験生レベルの素人目に見てもわかるが、点数付けまでは出来ないからである。60~55点の微妙なラインの見極めは、やはりプロの目の方が確実だ。

 大体9月上旬くらいまではゆっくりしたと思う。そもそも調査したところによると、大体の人が口頭試験対策は合格発表までしていないということだったので。それまでの間、何が苦痛だったかというと、会社の方から筆記試験の手ごたえや結果はどうだったかなどを何度も聞かれたことだ。大抵の試験は1~2カ月もあれば合否が分かる。何故ならマークシート形式だからだ。採点が容易である。技術士二次試験の筆記試験は全て記述式なので、3カ月半もかかってしまうのは頷ける。私が中々合否を言いに来ないので、周りから聞きに来るというわけである。何度「合格発表は10月末です」といったことか。ちなみに手ごたえの話をしても理解できず、試験の概要まで説明させておいて結局「へぇー、なんだか大変だな」で終わる。骨折り損のくたびれ儲けってやつだ。周りに技術士がいないのと、そもそも試験を知っている人があまりいないので仕方ない。しかし今は出来る限りこの資格のことを知ってもらって、一人でも多く技術士を目指す方が増えればと思っている

 10月に入ると有料講座の案内が頻繁に来るようになる。口頭試験対策講座だ。まだ合否すらわからないからとあまり内容を見てもいなかったが、実は合否から1か月後には口頭試験が始まるため、あまり時間がない。このことを当時はあまり深く考えていなかった。今年の受験者の方に伝えたいのは、筆記の合否が分かり次第すぐ申し込むくらいの事前調査をしたほうが良いということ。有料講座は11月中にスクーリングと模擬試験を行うようなので、出遅れると参加できなくなる恐れがあるため要注意だ。

 

 

その⑨に続く

 令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑨

 

 

技術士二次試験向け 信頼性設計まとめ

 本日は技術士二次試験の総合技術監理部門の筆記試験が行われました。一度延期になっていますので、一年以上前になりますが、私が受験した日のことは昨日のことのように覚えています。本日を迎えられた方たちが皆合格出来たらいいのですが、そうもいかないのが技術士試験。明日の総監以外の部門の方達も同様です。

 私は二次試験直前は、なるべく頻出キーワードの復習とアウトプットの練習に注力しておりまして、中でも信頼性設計に関しては丸暗記する勢いでインプットしていました。普段の業務においても常に忘れずに定着させておきたい知識です。よって今回は信頼性設計について試験に役立つ必要最低限の情報をまとめてみました。

 

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 信頼性設計とは

 信頼性設計とは、機械が要求通りの機能を維持し続ける可能性を高めるため、つまり信頼性を向上させるための考え方や手法のことを言います。信頼性設計は以下のようなものが挙げられます。

・フールプルーフ

・フェールセーフ

・フォールトトレラント

・フォールトアボイダンス

・フェールソフト

それでは一つずつ解説していきます。

 

フールプルーフ

概要

利用者が操作を誤っても危険が生じない。そもそも誤った操作や危険な使い方が出来ないような構造や仕組みを設計段階で組み込むこと。その構造や仕組み自体を指す場合もある。

 

メリット

・事故を未然に防止する

・事故による修理費の削減

・生産能力低下による損害賠償の回避

 →半導体工場の場合、1時間ラインを止めると億単位の損害が出ると言われています。

・防護策やマニュアルなどの追加による設計のコストUPを防ぐことが可能

 →3STEPメソッドのSTEP2、STEP3です。

 

課題・問題点

・フールプルーフの仕組みが壊れた際は、非常に危険な状態となる。あくまでサポート役とすべき。

→安全を守るのは人間であるという意識を使用者、設計者に浸透させる。

 

・ドアを安全に閉じなければ起動しない電子レンジ

・両手で同時に操作しなければ動作しないプレス機

・部品の面取り

フェールセーフ

概要

機器などに故障が生じた場合において、それが波及して事故に発展しないよう、安全側に機能するような設計思想。またはその仕組みや構造。

 

メリット

・製品やシステムに故障あるいはエラーが発生しても安全が維持できる。

 

課題・問題点

・フェールセーフはフールプルーフの次善策であり、まずはフールプルーフでヒューマンエラーを対策する。

・要求される工期や効率から、フェールセーフのような安全対策が困難な場合がある

→技術士としては生じる問題をきちんと説明し、顧客に納得してもらえるよう説明する。難しい場合は、安全柵などの安全対策やマニュアル、ハザードラベルなどにより、注意喚起を行うことで安全対策をする。

・一定温度以上に達すると温度ヒューズが溶断し、停止するドライヤー

・踏切遮断器は故障した場合でも自重により遮断桿が落下してくる。

 

フォールトトレラント

概要

機械要素の一部が故障、停止などしても予備の系統に切り替えて機能を保ち、正常に稼働させ続けるような設計思想。またはその仕組みや構造。冗長設計ともいう。

 

メリット

・システムを二重、三重化することで冗長化し、システム障害耐性の向上が見込める。

 

課題・問題点

・損害を受けてからいつまでも正常に稼働させ続けるシステムは作ることが出来ないため、機能を維持する時間に制限がある。

→フォールトアボイダンスによって故障の原因を排除することで、信頼性を向上させるという考え方もある。

 

・UPS(無停電電源装置)

 →停電や瞬時電圧降下よって電源が突然断たれた際に、コンピューターなどの機器や工場の設備に電力を供給し続けるための予備電源のこと

 

フォールトアボイダンス

概要

機械要素になるべく故障や障害が生じないように設計すること。個々の機械要素の品質を高めたり、十分なテストを行うことで、故障や障害の原因となる要素を排除する。

 

メリット

・故障の発生確率減

・安全性の向上

・故障による修理費削減

 

課題・問題点

・一定の水準を超えて高品質高精度を要求すると、極端にコストが高くなる場合がある

→一般的にはフォールトトレラントとの組み合わせで信頼性を高める

 

・高信頼部品の採用

・テストや検証による良品選別

・品質保証、品質管理対象品を増やす

 

フェールソフト

概要

ハード・ソフトウェアに障害が発生した場合、機能を低下させてでも正常な部分を利用して運用を続行しようとする設計思想。

 

メリット

障害が発生しても原因を切り離すことで、被害の拡大を防ぎ、安全に装置を動作・停止させることが出来る。

 

課題・問題点

・継続性に重点を置いているため、安全上すぐ停止させたい場合はフェールセーフ設計をする。

 

・複数のエンジンを積んだ飛行機におけるエンジン

→エンジンに火災が発生すると、燃料の供給を断って炎上を防ぐ。残ったエンジンで速度を落として飛行を継続できる。

 

技術士二次試験における活躍

 筆記試験においては、選択科目Ⅱ-1で出題が予想されます。実際昨年はフェールセーフが出ましたね。今年フォールトトレラントやフールプルーフが出るかもしれません。

 また、各問題でリスクを述べよという設問があったとします。この場合、リスクというのは予め確実に起こると分かる事象ではなく、確率によって発生する事象のことを指します。例えば、機械が故障して人が怪我をするかもしれないというのはリスクです。操作性が悪いとかコストが高くなるというのは、ただのデメリット・懸念点ですね。

 機械部門の場合、リスクを述べよときたら安全に関する事象を持ってくると論文が書きやすいです。なぜなら信頼性設計をその対策に挙げられるからです。

 

 口頭試験においては、技術者倫理について重要視していることは?という問いがあった場合、公益の確保と答えたとします。ここで出来れば具体例が出せると良いのですが、私の場合は信頼性設計に基づき安全な機械を設計すると答えます。というか答えました。そのまま信頼性設計に関する質問がありました。

 

 このようにある程度自分で論文の型をつくると、そこには信頼性設計が出てくるんですよね。そういう意味でも確実に覚えておきたいキーワードです。

 

最後に

 明日は技術士二次試験の筆記試験が引き続き行われます。この記事が少しでも役に立つことを願っております。頑張ってください。

技術士二次試験筆記試験後にやるべきこと

 明日はいよいよ令和2年度の技術士二次試験の筆記試験が行われます。正確には総監部門が明日、その他の部門が明後日となっています。

 今年は延期があってここまで長かったですね。私も多くの記事を書かせていただきましたが、ここまで継続出来るとは思ってもみなかったです。記事を見ていただけるようになったおかげで、モチベーションの低下に耐えることが出来ました。このまま来年の合格発表までお付き合いさせていただきます。

 さて、本題ですが今回は技術士二次試験の筆記試験後にやるべきことについて記事にしていきます。

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筆記試験後にやるべきこと

 筆記試験後にやるべきことは以下の3つですね。

・再現論文もしくは骨子の作成

・再現論文の添削

・口頭試験の準備

再現論文もしくは骨子の作成

 ある程度耳にしたことがあるかと思いますが、筆記試験で書いた論文は持ち帰ることが出来ないため、再現論文を作成する必要があります。なぜ必要かというと、口頭試験対策になるためです。口頭試験の詳しい対策は別途記事にしますが、口頭試験では、コンピテンシーの評価の項目に従い、論文において不適切な内容や間違いを指摘される場合があり、そこで反省点、改善点などがしっかりと回答できるかどうかがポイントになります。ちなみに私は何も聞かれませんでしたが、それは筆記試験でA判定だったことが理由の一つかもしれません。突っ込みどころのある論文を作成した気がする場合は、再現論文を必ず行っておくようにしましょう。もし記憶が曖昧だという方は、骨子を清書するだけでも構いません。武器になるのであればなんだって使う心構えでいてください。最低でも自分がどのようなキーワードを使用したのか?が分かるようになっているといいですね。

 

再現論文の添削

 再現論文の添削は、作成した人のみが対象です。もし筆記試験の勉強の一環で、有料講座の添削を依頼していた場合は、追加で再現論文の添削もしていただけると思います。

 添削を依頼する理由としては、前述したように口頭試験対策になるためです。悪い点を客観的に指摘してもらうことは重要です。そしてもう一つは、口頭試験対策に気持ちを切り替えるためです。筆記試験の合格発表は例年3か月半後になりますので、そこまで受かっているかどうか分からない状態で待つのは正直つらいです。もし受かっている可能性が高いなら、直ぐにでも口頭試験対策を進めた方が良いです。もし不合格の可能性が高いなら、来年の筆記試験に向けて、キーワードの暗記や収集を少しずつ始めていくようにしたいですね。一年後の試験勉強を今からやるのか??と思われるかもしれませんが、私がもし同じ立場ならやりますね。何故なら、インプットした情報を忘れてしまうのがもったいないからです。今の状態をなるべく維持しつつ、来年の春ごろはゆっくり勉強した方が効率が良いと思いますので。

 

口頭試験の準備

 口頭試験の準備は、試験後すぐでなくてもいいですが、出来れば再現論文の添削結果を見たらすぐにでも始めてもらった方が良いですね。何故かというと、筆記試験合格から口頭試験まで最短で1か月弱しか時間がないためです。口頭試験の合格率は大体75%くらいといわれています(部署によってばらつきあり)。この情報を真に受けて、結構ゆっくりしてしまうんですよね。

 筆記試験合格という狭き門をくぐってきた人たちの中で合否を競う形になるため、実際の合格率はそんなに高くないと思った方が良いです。以前説明した通り余裕で合格出来る方もいれば、ぎりぎりで合格できる方もいるわけで、すでに技術士のような人たちと比べてあなたはどうでしょうか。下位25%に含まれているような気がするのであれば、他の方達よりも余分に対策をしていかないと合格の壁は越えられません。

 まずは、口頭試験用の参考書を購入しましょう。そして、口頭試験の模擬試験情報をインターネットで調査しましょう。今年は新型コロナウイルスの影響で、スクーリングや模擬試験の形態が変更になるかもしれませんし、もしかしたら開催されない場合が出てくると、早い段階で申し込みが締め切りになるかもしれません。合格発表前から申し込む場合の準備をしておくことをお勧めします。

 

 

 最後に

 試験前にその後の話をしてしまいましたが、記憶が新しいうちに再現論文に取り掛かれるようこのタイミングでの記事作成になりました。まずは目の前の筆記試験で無事に力が発揮できるよう心から祈念します。それでは頑張ってください。

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑦

 今回は技術士二次試験の合格体験記第7回になります。少々長くなりますが、筆記試験終了までを一気に書きます。引き続き最後まで目を通していただき、受験勉強の参考にしていただけたら幸いです。

 

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その①

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その②

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その③

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その④

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑤

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑥

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技術士二次試験一番の危機

 7月上旬、試験まであと10日ほどのところで体に異変が起きた。熱を出した。このタイミングで風邪をひくとはついていない。医者に行く前にあることが気になった。妻から夏になると子供の間で手足口病が流行っているということを耳にした。私には2人の息子がいるが、当時息子たちも立て続けに風邪をひいていた。まだ症状が軽いため医者にいっても普通の風邪だという診断だった。しかし、私の妻は看護師をしており手足口病の可能性があるといっていた。そのことを医者に伝えたが、私もただの風邪だとのこと。とりあえず風邪薬をもらったがいつもより治りが遅かった。

 2、3日したら体調が戻ってきたが、夜寝ていると手に痒みがあった。夏なので蚊に刺されたかと思い、ムヒを塗って放置していたら他のところもかゆくなってきた。よく見ると、4か所ほど赤い斑点が出来ていた。そのとき私は急いで手足口病の症状を調べた。熱が引いた後、手足口に水膨れが出来るようだ。これはもう確信した。次の日すぐに医者に行って症状をみてもらったら、手足口病だと診断を受けた。この時点で金曜日、10日前。1日たっただけでもう手がパンパンにはれ上がっていた。金曜日の時点で当然シャーペンすら持てない状態。とにかく体を休めることにした。

 手足口病の症状は大変しんどかった。しかしそれよりもこの半年の努力がこんな形で無駄になるかもしれないと思うと、正直心が折れそうになった。土曜日、試験前の最後の連休、手がパンパンにはれて、かゆみ止めを塗ってノートが汚れないよう包帯を巻いて机に向かった。はっきり言って練習になってない。字がまともに書けないからだ。経験のある方はわかるかもしれないが、手が晴れると指が関節で曲げられない。そんな状態を見て妻が「それ本当に取らなきゃいけない資格なの?」「別に今までたくさん資格採ってきたし十分頑張った」と言ってくれた。要するにそんな状態で勉強しなくてもいいということが言いたかったらしい。正直私はかなり追い込まれていたというか情緒不安定だった。しかし妻のその言葉で私の気持ちが一気に試験に向いた。なぜかわからないが、それでも受かってやろうとやる気が出た。

 

試験前日まで

 手足口病の症状はだんだん回復に向かっているが、普通の風邪と違って対処療法しかない。とりあえずかゆみ止めを塗るだけで、あとは自分の体に頑張ってもらうしかない。試験前日までは全然勉強できなかった。といっても目と耳は万全なので、なるべくキーワードや論文の暗記や音読、聞き流しを行うことにした。先に言うと、アウトプットの練習はもうできなかった。

 試験前日になると、関節が動くようになってきた。それでもシャーペンを握ると痛い。恐らくこの状態で試験に臨むことになるだろう。そもそも包帯巻いて試験受けても大丈夫か?とか余計な心配までするようになっていた。

 これ以上余計なところで試験の結果に影響を与えないように、万全の準備を整えた。試験当日にやるべきことは以下の記事に詳しく書いたので参考にしていただきたい。

 

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試験当日

 試験当日、忘れ物が無いように最終確認し、試験会場に向かった。遠方の大学が試験会場だったため、電車で向かうことにしていた。遅延などにより試験に遅れないよう、試験開始の1時間半前には会場に到着するよう出発した。

 当日はダイヤの乱れもなく予定通り開始前1時間半前に到着した。7月上旬とあって気温もそこそこ高く、日陰を探して歩き回った。しばらくすると会場には試験会場の案内を配っている方達と遭遇し、自分が試験を受ける部屋の場所が分かったのでそこに向かうことにした。まだ試験開始から1時間以上も前だというのに、多くの人が校舎の中庭のようなところで各々参考書を見たり、音楽を聴いたり、仲間内でしゃべっていたりなどして時間をつぶしていた。私は校舎の中に入れることに気付いたため、誰もいない階段で座り、最後の勉強を始めた。キーワードや予想問題の論文を眺めたりなどしていたと思うが、正直緊張のためかあまり覚えていない。

 そうこうしているうちに、あっという間に試験開始時刻がすぐそこまで迫っており、トイレを済ませ急いで教室に向かった。到着した時から思っていたが、1次試験と同様受験者の年齢層が高い。私の上司やそのまた上司くらいの歳や風格のある方がいた。とりあえず目の前のことに集中し、試験開始時刻を待った。

 

運命の二次筆記試験開始

 1限目は必須Ⅰの3枚論文だ。2時間の所要時間で1800字ほど書く必要がある。問題は2問のうち1つを選択し論文を書くことになっている。

 問題文を見ると、Ⅰー1はものづくりにおける「組み合わせ」から「擦り合わせ」への転換について課題の抽出、分析、それに対する解決策、対策そして技術者倫理、持続時可能性の観点からの意見を述べよという問題。Ⅰ-2はSDGsに関しての機械技術全体の見たときの課題の抽出、解決策、リスクと対策、業務遂行に必要な要件を技術者倫理の観点から述べよという問題。

 私はⅠ-2を選択した。前回の記事で問題を予想した結果はズバリ的中ということだった。SDGsはもうあまりにも周知されていて、殆どの人がⅠ-2で回答したのではないだろうか?ちなみにⅠ-1はものづくり白書にも書かれており、どちらでもよかったが、より話が膨らませそうな方を選んだ。

 SDGs関連は如何に17の達成目標に絡めて解答できるかがカギとなる。私の場合、環境負荷低減に関するものを選んだ。具体的には14の海洋資源で、マイクロプラスチックが起因で海洋用資源にダメージを与えることを問題とし、バイオプラスチックを積極的に利用することを解決策に選んだ。この試験の難所は、課題や解決策が複数必要であるところでバイオプラスチックだけでなくDfEの実施やろ過装置の開発などを解決策として挙げてみた。

 ここまでは順調に進んだが、リスクと対策について上手く文章がつながらない。とりあえず通常のプラスチックに比べ、コストが高く調達しにくい、機能が不十分で置き換えできない可能性があるなどをリスクにした。対策は品質機能展開により、機能、調達性が両立できるよう適切に評価することとした。

 今年からコンピテンシーに関して評価されるようになり、必須Ⅰは最後に技術者倫理に関する問いがある。ここはコストだけでなく環境負荷低減に関する評価項目を追加する。またライフサイクルアセスメントにより全体最適化を図る事。そして共同開発の場合、セキュリティ対策に気を配る事を挙げた。

 最終的に空白行が2行出来てしまったのは、時間配分をミスしたからとやはり手の具合が思わしくなかったからで、内容に関することよりもそれに対しかなり不安を抱いていた。しかし意外とアドレナリンが出まくり、普段ほど病気の影響が出なかったところはよかった。午後に向けて希望が見えた。

 

 昼休み、あまり気分的には優れなかったが、悔やんでも仕方ないのでとりあえず選択Ⅱ-1の対策をすることにした。選択Ⅱ-1はキーワードに関する問題。つまり知識を問う問題だ。4問の中から選ぶことが出来るので、運悪く自分の苦手な問題が出て不合格ということが無いように出来ている。

 

 午後の時間割は選択科目Ⅱ-1、Ⅱ-2、Ⅲを続けで3時間半の試験だ。先に言っておくと私の選択科目は機械設計である。実はこれ、午前の試験に比べて1枚当たりの論文作成時間が短いことが分かる。午前は3枚を2時間、午後は6枚を3時間半で、同じ枚数に換算しても30分試験時間が短いことが分かる。いかに手を止めずに論文を書き続けるかがカギとなる。

 そうこうしているうちに午後の試験が始まった。試験に区切りがないので、どこから書いてもいいが、とりあえず選択Ⅰ-1から作成することにした。選択Ⅰ-1は30分で1枚600字で仕上げることになる。知識問題と見せかけて意外と難所である。何故なら1枚の中に情報を詰め込むため、余計な情報をいれたり冗長文を入れると点数が稼げない。単なる知識問題ではなく、いかに端的に分かりやすく相手に情報を伝えるかが試される。今年の問題は、以下の4問で

Ⅱ-1ー1品質工学&ロバスト設計

Ⅱ-1ー2 サイズ公差と幾何公差

Ⅱ-1-3 フェイルセーフ

Ⅱ-1-4 設計審査、設計検証、設計の妥当性確認の違い

からⅡ-1ー3フェイルセーフに関して具体的な適用例を示し、考え方と留意点を述べよ。を解答することにした。フェイルセーフは普段の設計でも馴染み深いキーワードで難なくかけた。無励磁作動形ブレーキを昇降クレーンに組み込んだ場合を実例にし説明した。分かりやすいようにクレーンの構成を図示することにした。

 フェイルセーフ設計は故障があっても安全側に作動するように作りこむこととされているが、実際はキーとなる無励磁作動形ブレーキが壊れるなどのリスクが潜んでいる。そこで本質的安全設計の考え方をまず第一に考えるといった感じで留意点と対策を挙げた。例えばカウンターウエイトを付けたり、モーターの出力を押さえるために軽量化を施すなど。ここまでで35分、意外と時間を使った。

 次に選択Ⅱ-1を飛ばしてⅢに入った。Ⅲに関しては以前骨子案の作成で例を出して説明したのでそちらを確認してほしい。結論から言うと、かなり良く書けたと思う。まず高齢化社会に関する論文は想定していたし、そもそも身内が老老介護状態で、自分に何が出来るか普段から考えていたため、問題も当たりだったと思う。

 

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  最後に選択Ⅱ-2だ。なぜ最後に回したかというと、正直2問から選べるといっても、どちらもあまり自信がなかったから。Ⅱ-2-1は機械要素が組み込まれた製品開発のとりまとめとして、具体例を出し、機械要素に関して調査・検討すべき事項とその内容、業務手順・留意点・工夫を要する点、業務を効率的に進めるための関係者との調整方策を述べよという問題。Ⅱ-2-2は新製品開発プロジェクトメンバーとして、開発の進め方の調査・検討すべき事項・その内容に関する説明、業務手順の留意点・工夫を要する点と業務を効率的効果的に進めるための関係者との調整方法を述べよという問題だった。

 Ⅱ-2-2はDRがキーワードになってくると思ったが、正直DRは企業ごとにやり方が様々で、私の会社がかなりオリジナリティが強く、一般受けしないことが予想される。すると試験でも大幅な減点のリスクがあるため、Ⅱ-2-1を選択することにした。

 そこで問題となったのは、機械要素について私の記憶が少々怪しいことだ。機械要素は動力伝達要素と流体伝達要素に関して調べることにした。業務の進め方はDRの手順を図示しながら説明した。DRのポイントはいつ・誰と行うかである。製品開発の各フェーズにおいて、然るべきタイミング・人を集めて行うことができているか気を付けるよう記載した。そして市場投入を早め競争力を向上させるためにも、コンカレントエンジニアリング・フロントローディングを推進する。さらに設計の妥当性評価のために品質機能展開を用いて他部署にも情報共有を促す。そしてリスクアセスメント・FMEAにより、関係者が手順に沿って進めやすい手法を導入することを方策とした。

 かなりこじつけもあったが、とりあえず流れに沿って解答できた。それでもあまり自信なし。時間を目一杯使い、試験が終わった。とても疲れた。特に握力が低下しており、今になって手に痛みが襲う。しばらくは治療に専念しないと仕事にも支障が出そう。ただやるだけのことはやったので、結果を待つのみ。

 とその前に再現論文を作るべく、また手を酷使するのであった。

 

その⑧に続く

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑧

 

 

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑥

 今回は技術士二次試験の合格体験記第6回になります。引き続き最後まで目を通していただき、受験勉強の参考にしていただけたら幸いです。

 

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その①

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その②

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その③

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その④

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑤

 

 

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3回目の添削結果

 6月下旬、3回目の添削結果が返ってきた。今年度から択一が論文形式となった必須Ⅰの問題だ。5年前も論文形式だったそうだが、今年からコンピテンシーを問われることになっており、過去の対策がそのまま活きるかわからない。手探りの中、点数は50点。合格点に届いていなかったが、課題が明確になって良かったと思う。しかし相変わらず厳しいご指摘‥私のメンタルが弱かったら、試験の前に放棄していてもおかしくない。内容だけでなく、各設問にかける文字数にまで指摘が及んでいた。設問ごとに文字数が均等になるよう調整した方がよいとのこと。なぜならば、回答者は自信がない解答ほどボリュームが少なくなりがちであり、そこに苦手が存在すると採点者に知らせているようなものだからだそう。これは口頭試験の時に厳しい突込みがあるかもしれないとのこと。

 時間かけてこれだから、時間のない本番で本当に大丈夫か?と誰でも思うだろう。

 指摘内容を論文に反映させて、しばらく繰り返し読むなどして復習する日々が続いた。

 

論文の出題傾向について

 過去問をいくつか確認してわかったこと。それは問題文にあるキーワードが白書から出ているということだ。私の場合ものづくり白書をみてみると、2018年は持続可能性に関する話つまりSDGsだ。とりあえず、17の達成目標についてはある程度頭に入れ、機械設計における課題の抽出、解決策などはシミュレーションした。この辺の予想が当たっているかどうかは、試験当日の回で明らかにしたい。

 

合格論文を体に覚えさせる

 7月上旬になると、過去問を解く傍ら合格論文を読むようになっていた。合格する人の論文の傾向を調べる行為は大変重要だ。中身自体も、どのようなキーワードをどのように盛り込むのかは参考になる。また、図表の入れ方など実践的なところが掴めて大変メリットが大きい。ただし注意点は、合格といえど満点ではないということだ。-40点分の減点対象部は真似してはいけない。いかに良いところだけを真似できるかが鍵となる。

 

合格論文集の購入

 上記の勉強方法で大変役だったのは、新技術開発センターの合格論文集だ。年度毎に合格論文が記載されている。非常に参考になった論文は丸写しして体に覚えさせるという、荒技も行った。私は読んだり聞いたりするよりも書いて覚えるタイプなので。

 結局口頭試験対策も併せて3冊購入した。価格は5000円だったが、十分価値のあるものだった。お金に余裕がない方は、SUKIYAKI塾で検索して頂ければ運よく自分の選択科目と同じ解答事例が探せるかもしれない。

 

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模擬試験の受験

  6月上旬ごろから筆記試験の模試について気になるようになっていた。正直言ってその時点では合格レベルにないと思い、受ける価値があるかどうか決め切れていなかった。

 3回目の添削結果を見て決めようと思い、先の結果から模試は見送った。それよりも、課題を消化する方針に切り替えた。初めて技術士二次試験を受験する方や十分に準備しておりアウトプットの機会が欲しい方は、出来る限り受験した方がいい。

 

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 そして7月上旬にはいり、そろそろ仕上げの時期に入って大事件が起こった。詳しくは次回で。

 

その⑦へ続く

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑦

 

 

 

 

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑤

 今回は技術士二次試験の合格体験記第5回になります。引き続き最後まで目を通していただき、受験勉強の参考にしていただけたら幸いです。

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2回目の添削結果

 6月上旬、2回目の添削結果が返ってきた。今回は点数は45点。題意に沿って解答できていないと厳しい指摘だった。

 例えば技術的問題が起こった際、不具合解析はFTAや特性要因図などを使うという点は間違っていない。しかし、再発防止で変更審議会を開催し、有識者レビューを行うなどは技術的な提案ではない。つまり機械設計のキーワードから外れているということだった。私の場合ISO9001に則った対応としたかったがあまりにも抽象的で問題があるようだ。そして技術士つまり高等な専門的応用能力を発揮する者の解答としては不十分とのこと。ここで私は自分がまだ技術士とは何か?を十分理解できていないのではないか?と思い、改めて技術士法やコンピテンシーを眺めてみた。

 コンピテンシーは以下の記事でまとめたが、このコンピテンシーを意識した解答を作る事で、技術士らしい姿をアピール出来ることに気が付いた。さらに、解答はキーワードを当てはめることが需要であることを再認識した

 

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 そして、とても重要なポイントを教えていただいた。それは試験官になぜ?と疑問をもたせないように論文を書くことだ。自分が正しいと思って書いている内容でも、頭の中で内容が補完されていて、文章に脈絡がないことがあったり、自分の仕事の業界でしか通じない言い回しがあったりなどコミュニケーションの取り方が点数に響いてくるそうだ。その為の練習方法だと、自分以外の人に読んでもらうことになる。同僚、上司、そして家族など自分の業務つまり技術的背景を知らない人ほど「なぜ?」「どういう意味?」が湧いてくる。これらにより技術士は、難しい技術を誰にでもわかるように説明できるコミュニケーション能力が必要であることに気づかされる。

 

 以降は①理解しやすい文章で②課題を明確に提示し③自らの専門能力で問題解決が出来ること、を論文で表現するよう意識して勉強を進めた。 

 

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アウトプットの速さを補う手法

  なんとか3回目の添削課題を6月下旬までに送付しようと奮闘していたころ、一つの壁にぶつかった。それは、どれだけ納得のいく論文が書けても圧倒的に時間が足りていないということ。正直言って試験時間の1.5~2倍は掛かっているし、書き終えてひと段落してからやっぱりあそこはこうだ、とか言って手直しをかけている。当然試験ではそんな事できやしない。

 こういう問題から課題を明確にし、解決する方法を生み出すのが技術士というものだ。その気になって色々解決策を考えてみた。

 まず問題点は論文が時間内に書ききれないことだ。さらに深堀していくと、論文を書きながら手が止まってしまう、つまりアウトプットが素早くできないことが真の問題点となる。正直言って私は頭の回転は速くない。正直言って凡人だと自負している。そこで凡人でもアウトプットを速くする方法を生み出すことが課題となった。

 そこで私はマトリクス表の暗記を解決策とした。マトリクス表については以下の記事で詳細を述べているが、簡単に説明するとただ知識(キーワード)を詰め込んでいる状態から、インデックスを付けていつでも引っ張り出せるようにしておくイメージだ。

 正直言って私のように頭の回転が速くない人は、元々頭の中が整理できていないことが多い。その状態でいくら詰め込んでもゴミ屋敷のようになるだけで、結局欲しいものが欲しい時に見つからない状態になるのである。それをマトリクス表を作る事で強制的に整理しようという訳だ。

 キーワードがある程度溜まってきて、論文の数もある程度こなした人は是非真似してみてほしい。最初のうちはマトリクス表を見ながら論文を書いて、効果のほどを確認してもらえればいいと思う。

 

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 有効な時間の使い方

 論文を書く練習というのは指や手に大きな負担がかかる。これは経験している方ならわかると思うが、速く文字を書くという行為は握力を使うみたいで、最悪腱鞘炎になる。よって毎日の勉強時間はひたすら論文を書くのではなく、キーワードを暗記する時間を設けて手を休める必要がある。

 そこでキーワードの暗記だが、普通はノートを眺めたり声に出して読んだり、もう一度書き写したりなど様々な勉強方法があると思う。私の場合は、忘れやすいキーワードや重要なキーワードを読み上げその声をスマホで録音し、通勤時に聞くことにした。車の通勤時間は往復で2時間にも及ぶことがある。渋滞するときなどぼーっと外を眺めるくらいなら聞き流したり、声に出して復唱するなどして時間を有効に使った。この暗記方法を含め他にもいくつか紹介している記事があるので、以下を参考にしてほしい。

 

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その⑥へ続く

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑥

 

 

 

 

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その④

 今回は技術士二次試験の合格体験記第4回になります。引き続き最後まで目を通していただき、受験勉強の参考にしていただけたら幸いです。

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腰痛との戦い

 5月上旬、ゴールデンウィークに入る前に腰の違和感が気になった。本番を意識して長時間座り続けることも多いなか、どうやら変な姿勢で筋肉を痛めていたようだ。以前2回ぎっくり腰になった経験から、対処方法は整形外科に行って湿布と痛み止めをもらい、マッサージを受けることになっている。

 基本的には今以上に腰に負荷をかけないようにすることで回復に向かうのだが、この時は悪化を防ぐだけで、勉強により身を削っている状況だ。毎週通っていて通院代が地味に痛い。。。

 

初めての添削結果

 3月に申し込んだ有料講座の1回目の添削結果が5月上旬に送られてきた。赤の他人に自分の出来の悪い論文を見ていただかということで、正直恥ずかしかった。もしかしたら厳しい言葉(貴方には技術士無理!とか)が書いてあったらどうしようとかドキドキしながら封筒を開ける。すると、A4の下半分にびっしり評価が書かれていた。最初の方はどことなく褒められている感じ。ただ後半はやや厳し目。例えば、選択II-1は知識を問う問題だが、私の業務に当てはめてより具体的な説明が必要と指摘された。問題文にそのような指示はないので、これはどちらかというと加点狙いの指摘だ。しかし、あたかもそうすることが当たり前かのように書かれている。これを見て、私は添削を依頼して良かったと思った。合格ラインを狙う勉強方法ではなく、さらに余裕のあるレベルまで鍛える事で合格率を上げる指導方法だからだ。

 指摘されたノウハウをもとに、次の添削依頼用の論文を仕上げることにした。

 

図表がボトルネックになる

 二回目の論文添削は選択IIー2と3だ。ここで、論文作成テクニックの一つである図表を入れてみることにした。

 技術士二次試験の論文は採点者が多くの人の論文をみなければならないため、読みやすく理解しやすい論文に仕上げなければならない。コミュニケーションの採点対象になると言われている。そこで図表が必要になってくるというわけである。

 正直言って私はフリーハンドの直線やポンチ絵作成が苦手だ。仕事でも見た目より早さを重視するタイプ。当然綺麗に描こうと思えば描けるが、慣れていないので時間がかかる。私のような人は、技術士二次試験向けに練習が必要だ。

 またサイズ感も重要で、大きすぎると文字を書くスペースが少なくなる。逆に小さくすると何が書いてあるか分からなくなる。よってただ絵を描く練習をするのではなく、問題を解きながらバランスの良い図を描くつまり全体最適化を目指すようにする必要がある。

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写真1.FMEA

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写真2.FT図

 

マラソンの様なペース配分

 5月も終わりに差し掛かるころ、2回目の添削課題が終わった。この頃にはもう週20時間の勉強ペースは苦に思えなくなってきた。毎日毎週のルーティーンはそれが長く続けば続くほど、慣れてしまうということだろう。逆に極端に25時間、30時間という無茶なペースで勉強すると大抵1,2日は反動で勉強ができない。もしくは仕事に支障をきたすこともある。よって自分の限界ペースを知り、それを淡々と守る事。これが長丁場の受験勉強には必要だ。インターバルを挟んで短距離ダッシュを行うより、ゆっくりでも同じペースでずっと走り続けた方が、最終的な走行距離は長くなるはずだ。

 私の週間スケジュールに関しては別途記事にしたのでそちらを参考にしてほしい。

 

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 いくらマラソンの様なペースといっても、同じことの繰り返しは精神的にもつらいものがある。私の場合、勉強環境を変えることで気分よく勉強することが出来た。

 一つは図書館での勉強。メリットはやはり同じ目的で集まっている人たちがいるため、モチベーションが高まる。また息抜きに参考書を物色できる。そして椅子がやわらかく腰にやさしい。飲食が出来ないのが残念だが、家よりも効率よく勉強できるくらいだ。

 二つ目は実家での勉強。子供がいない場所での勉強になるため、集中して勉強できる。また元々住んでいた場所なので妙に落ち着く。

 このように中だるみしそうになったら、様々な方法でそれを解消する努力をしてきたつもりだ。残り2カ月強もこのままのペースを維持できるかどうかが合格の鍵となる。

 

 

その⑤へ続く

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑤

 

 

 

 

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その③

 今回は技術士二次試験の合格体験記第3回になります。引き続き最後まで目を通していただき、受験勉強の参考にしていただけたら幸いです。

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技術士二次試験の受験スイッチ

 4月上旬、受験申込書受付開始日に準備してあった申込書を提出した。当然14,000円は振り込み済み。普段なら払うのに躊躇する金額だが、今回は全く惜しいと思わない。寧ろ機械設計技術者試験より安くて助かるくらいである。資格試験は合格すればそれ以上のリターンが受けられる。未来への投資と思わないと前へ進めない。ここで躊躇う様であれば、恐らく当日まで勉強をさぼるか、放棄する可能性が高いと思っている。どうしてもこの時点で前向きな気持ちになれない方は、「受験申込書の提出は気合を入れなおす儀式」と捉え、今一度試験に向けてモチベーションを高めてほしい。つまり受験スイッチを意識的にいれましょう、ということである。私は元々モチベーションが高まっていたため、より一層勉強に力が入った。

 

特別な参考書との出会い

 以前同じ部門、選択科目の合格体験記を読んだとき、参考書が記されていた。私も活用した参考書等を紹介しようと思う。

・技術士二次試験「機械部門」完全対策&キーワード100

・ものづくり白書

・環境白書

・季刊「環境ビジネス」

・雑誌「機械設計」 ※受験シーズンは継続して購読

・技術士二次試験 合格する技術論文の書き方

・技術士教科書 技術士 第一次試験問題集 基礎・適正科目パーフェクト 2016年版 ※技術士法に関する出題や技術者倫理に関する部分を口頭試験用に確認

・技術士二次試験過去問

・機械工学便覧 デザイン編β1 設計工学

・技術士第二次試験「口頭試験」受験必修ガイド

・技術士第二次「筆記試験」「口頭試験」合格アドバイス

 

 ここで赤字の部分に注目して頂きたい。この本は日本機械学会が発行しており、中身もズバリ機械設計に関する知識が網羅されている。キーワード学習における情報収集は、誰かから伝え聞いた曖昧な情報ではなく、然るべき機関において定義された内容から引用することが望ましい。そういう意味では、インターネットで探してきた情報よりは信頼性が高い。また、キーワードの収集に困ったときは、ここから抽出すれば間違いないと思われる。機械部門・機械設計の問題(特に選択Ⅱ-1)はここに書かれている内容から出題が予測できる。この本は毎年受験シーズンになると在庫がなくなるようだ。私は数週間待ってようやく手に入れた。DVD版だと多少値段が高いが、別冊もついておりコストパフォーマンスは高い。これを機に、すべての機械工学便覧に目を通していただくことをお勧めする。 

 

 

 

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 論文対策開始

 受験申込書を提出した後から、本格的に論文対策を始めた。以前申し込んだ有料講座の添削は、必須Ⅰ、選択Ⅱ、選択Ⅲすべてに対して行っていただけるため、1か月毎に論文を仕上げ提出する。(選択ⅡのみⅡ‐1、Ⅱ-2の2問を同時に提出)

 私の場合、まずは一番短い1枚構成の論文Ⅱ-1から着手した。添削用問題は有料講座のオリジナルで、本年度の予想問題にもなっていた。正直最初はキーワードを知っていても上手く説明できないため調べながらの論文作成になった。それでも1枚仕上げるのに数時間かけた。結局書きたい内容がぼんやり分かっていても、論文に仕上げる術は別の技術が必要になる。私の苦手とする部分だ。

 1枚構成だと、少し冗長文がはいるだけで本当に必要な内容が書ききれなくなる。なるべく短文で区切ることも文章全体を短くする為には必要である。よく「はじめに」などの問題と関係ない背景を書く場合もあるが、Ⅱ-1に関してはいきなり題意にそって論文を書けばよいらしい。また、図表の入れ方も重要であると講座から学んだ。図表には、文字数制限がない。言ってしまえば、説明を図表を用いてすれば、1マス1字ではなく2字以上収めることも可能。しかし小さい文字は大変見難く、読む相手にストレスを与える。技術士は、自分の専門とする技術を万人に扱えるよう分かりやすく説明できなければならない。つまり「いかに読み手のことを考えて論文が書けるか」が重要なのである。

 図表もフリーハンドでいいということだったが、元々絵に自信がない場合は、図表を書く練習も必要だ。私は図表を書くのは得意な方だが、念のため短時間で仕上げる練習をした。

 

 

 論文の骨子案

 どの筆記試験対策書を見ても、必ずと言っていいほど論文作成手順に骨子の作成が書かれている。私自身も論文を書く上では大変重要な役割を担うと認識している。しかし骨子に時間をかけすぎると問題用紙に書ききる前に終了時刻が来てしまう。骨子も時間のかけ方が重要で、これは何度も繰り返し問題を解いて感覚を身に着けるしかない。

 骨子の作り方に関しては以下の記事に纏めてあるため、併せて読んでいただくことをお勧めする。

 

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  最終的に私が合格に至るまでに編み出した勉強法方については、以下の記事を参考にしてほしい。論文の作成手順を示している。 

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その④へ続く

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その④

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その②

 前回から合格体験記を記事にしておりますが、今回は2回目になります。引き続き最後まで目を通していただき、受験勉強の参考にしていただけたら幸いです。

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技術士二次試験におけるターニングポイント

 3月になって、大分キーワードの蓄積が出来てくると、重要キーワードは出がらしになった。例えば、リスクアセスメントや信頼性設計などは過去問にも出ていた。あとは如何に今年の問題を予想し、そこを狙ったキーワードを抽出できるかである。私が抽出したキーワードは以下を参考にしてほしい。

 

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  そして、3月になるともう1か月で受験申込書の提出時期だ。私は先に部門と選択科目を決めていたため、あとは業務経歴業務内容の詳細をどうするか考えなければならない。以前買った参考書を読んでも正直私の経歴や実力にあわせてどのように表現すべきかわからなかった。そこでインターネットで調べたところ、有料講座にて受験申込書の添削をしているところがあったので、検討することにした。どうやら受験申込書の添削はおまけの様なもので、実際は論文の添削やスクーリングがメインのようだった。模擬試験までセットになったプランもあったが、合格率の低さから正直自身が無かったため、様子見で論文と受験申込書の添削のみ依頼することにした

 受験申込書作成時のポイントは以前記事にしたのでそちらを参考にしていただきたい。

 

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 有料講座に申し込んだら、まずはテキストと受験申込書のフォーマットと添削依頼用封筒が送られてきた。この時点で申し込受付開始の1か月前である。

 まずはテキストに書いてある要点を踏まえて経歴と業務内容の詳細を作成した。720字以内とあるが、意外と書ける文字数が少ないという印象。いかに無駄な言葉を省くかに拘った。また経歴に関しては、自分の受験する部門、選択科目に該当するような内容にしなければならない。例えば私は最近開発がメインになっているが、そのまま機械の開発とすると不合格である。あくまで機械の開発に伴う設計とする必要がある。

 添削用の申込書を作成し、送付して添削が返ってくるまで10日ほどかかった。経歴書は特に不備がないようでマイナスな指摘はなかった。設計等文言が入っていればひとまず大丈夫のようだ。しかし、+αとして何のためにどのような工夫をしたのかが伝わるような経歴票であると良いとのこと。またなるべく専門用語を使わないようにということで、一般的な言い回しになるよう、本番の方は修正を加えた。

 そして、業務内容の詳細はかなり朱書きが多かった。まず、具体的な目標と結果を数値で表現するようにとのこと。これはセットでどちらかが欠けてもNGである。先ほど専門用語を使わないようにとのことだが、キーワードを盛り込むのはOKとのこと。例えば私の場合は「品質機能展開」を解決策に盛り込んでいる。職場でもよく活用する設計手法である。

 このように申込書だけでも対策をしっかりと施すことが出来た。これは口頭試験対策にもなるということだったので、今思えばここで添削を受けれたかどうかが私の合否の分かれ目だったと思う。

 有料講座の受講メリットは以下の記事にもまとめてあるので参考にしていただきたい。

 

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上司への報告

 申込書を仕上げ終わったころ、受験申込受付となる4月上旬を迎えた。不備があった時に備えて申込受付日にすぐ提出しようと心に決めていたので、経歴に対する上司の証明印をもらうことにした。

 私はここに至るまでまだ直属の上司に受験を伝えていなかった。年始に勉強を始めて伝える機会はいくらでもあったが、正直諦められるタイミングで所謂退路が断たれるまでは伝える勇気がなかった。5万もする有料講座を申し込んで受験というか合格まで義務づけられた故、すでに怖いものなしである。

 電話して、アポを取る。

「技術士二次試験を受験したいので申込書の証明印を押してください」

「(少し驚いた様子)・・・そうか、では定時後私の元へ」

 私の会社には一人もぎ技術士がいない。だから本気で受ける人がいるということに驚いたのだろう。逆にこのような状況はうちの会社にとって歓迎すべきことではない。売上などの数値目標以外の目標は個人によって様々である。今は更に上を目指さない人間が多いということ。数値目標を達成するだけなら正直技術力は必要ないのだ。機械を売らなくたってお金は稼げる。しかし私たちは、技術者の集団だ。付加価値のある技術を顧客そして社会に提供しなければならない。そういったビジョンをもう一度見せるために、私は技術士になって皆を引っ張っていきたいと思った。

  提示後予定通り上司の元へ証明印をもらいに行った。この時あまり気にしていなかったが、角印を押していただいた。後によって本当は丸印の方が良かったかなと思ったが、問題なく受理して頂いた。まぁ余裕をもって提出していたので何かあっても対処可能ではあったが。

 準備が整ったので、早速簡易書留で提出した。私は大丈夫だったが、もし郵便局の窓口にもっていかない場合(ポストへ投函など)は、必ず形式や切手の額を間違えないように注意してほしい。受験票が届いて知ったが、かなり若い受験番号だった。恐らく番号は受理した順番だろう。それでも私よりも早く提出した人がいて驚いた。合格者に私より若い番号の受験者はいなかったが。やる気だけではどうにもならない資格。それが技術士である。

 

続く

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その③

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その①

 技術士二次試験に関する情報発信の中で断片的に私の経験を語ってきましたが、一度まとめてみたいと思います。受験勉強の息抜きや来年目指す方のモチベーション向上に役立てれば幸いです。最初に言っておくと私は機械部門・機械設計の技術士です。

 

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技術士二次試験受験を決めるまで

 2018年12月下旬、機械設計技術者試験1級の合格発表があった。なんとか合格し、多方面からお祝いの言葉を頂いた。特に当時の上司は自分のことのように喜んでくれた。しかし私は周りに対し冷めた態度をとっていたと思う。更にそんな自分を客観的に見てイライラしていた。恐らく当時私の心の中には二つの感情が入り混じっていた。努力が報われて嬉しい、が物足りない。

 私は元々技術士になりたくて、そのステップアップに機械設計技術者試験を選んだ。1級は計算問題だけでなく、論文問題もあり、勉強の成果は技術士二次試験にも活かせるためである。ステップとはいえ難易度は高い。実際余裕なんてなかった。勉強時間もかなり多かったと思う。機械設計に関する資格の中で、技術士二次試験を除いたら最高難度といえる。だから合格した時、正直ここまででいいかって思った自分(喜んでいる自分)と技術士二次試験が控えてるでしょって思った自分(冷めてる自分)がいた。あと出来れば周りに「お前なら受かって当然」って言ってほしかったのでちょっと拗ねていたのもあるかもしれない。

 12月は忘年会シーズンで何かと飲み会が多い。相変わらずちやほやされつつ、信頼できる人にこっそり相談した。とにかく休めとアドバイスを頂いた。年末年始の休暇を完全オフにして今後のことについて考えてみることにした。これが何よりも薬になった。

 次の目標は技術士二次試験に合格することになった。ここまで来れば、他の資格試験と同じだ。いきなり1月4日から受験勉強のスイッチを入れることが出来た。幸いまだ正月休みは残っており、いきなり纏めて勉強時間を作るとそのあと継続しやすい。バーベキューの火起こしと同じかも。

 

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家族へ理解を求める

 私の二次試験合格までの計画は、奥さんに話してあったが小さな子供が大きくなるにつれて状況も変わってくる。何年も奥さんに負担をかけたくないし本人もそう思っているはず。そこで、相談を持ち掛けた。技術士になる事のメリット、難易度、毎週の勉強スケジュールなど可能な限り細かく伝えた。これは熱意を伝えるためには重要なプロセスだ。

 嫁さんは特に文句も言わずに了承してくれた。当たり前だが、目指すことに対して嬉しそうな素振りはないが嫌そうでもなかった。でも長年一緒にいればわかる。我慢していることくらい。単に技術士になるという目標ではなく、一発で合格すると心に決めた。

 

技術士二次試験 勉強方法の模索

 勉強を始める際、まずやらなければいけないことがある。自分が技術士になった際、何部門で選択科目をどうするのか決めるのである。仕事はがっつり機械設計なのである程度機械部門の機械設計で固まっていたが、丁度そのころ流体機器の設計に携わっていたので流体機器にも興味がわいた。しかし、過去問を見て正直かじっただけの知識では通用しなさそうだったので、予定通り機械部門・機械設計で受験することにした。

 次は具体的な勉強方法を探らなければならない。1月4日から勉強を始めたといっても、とりあえず機械設計技術者試験のときに買っていた二次試験の参考書を眺めていただけである。まず日刊工業新聞社の参考書から論文の御作法や過去問の模範解答を確認した。

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記念すべき1冊目の参考書

 

 

そして、気になったのはキーワード学習なるものである。これは技術士二次試験の最重要プロセスと言っても過言ではない。

 

 キーワード学習は参考書を見てもらえればわかるが、自作のノートに手書きで自身の部門や専門科目のキーワードに関する情報をまとめる作業である。これがとてもしんどい。合格には200個のキーワードをまとめ覚えるのが最低ラインと言われている。1日1ページ纏めたって200日、半年以上が必要だ。とりあえず週10個まとめるというノルマを設定した。ここから勉強時間は週20時間ほど必要だと割り出した。20週つまり140日で合格ラインにのるはず。しかしこれを暗記しないといけないとのことで、ここが勉強らしいところである。更に言うと、このキーワード学習はまだ導入編で、最終的に論文にアウトプットする練習を積まなければならない。ここが技術士二次試験の一番つらいところだと思う。膨大な知識を折角覚えたのに、アウトプットが出来なければ報われない。そうして多くの人が涙を飲んだのだろう。ある程度の計画のめどが立ったので、試験日までのスケジュール表を作成した。計画を立てることの重要性は以下の記事にまとめてあるので是非参考にしていただきたい。

 

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 正直私は論文が苦手だったので、そういった心配も常々頭をよぎる。キーワード学習はやり過ぎると手が痛くなる。そういったときはなるべく参考論文を読むようにして、論文作成スキルを向上させた。1月から3月にかけてはひたすら地道な勉強を重ねていった。

 しかし嬉しい誤算もある。キーワード学習は、今まで触れてこなかった知識を吸収する機会になる。よく職場の設計レビューで、何気なくその知識を披露するたび感心してもらえた。ただ披露するのではなく、知識を応用して解決策を提供する。私の意見で問題が解決に向かうこともしばしばあった。まだ技術士にはなってないが、このような振る舞いこそ技術士に求められている姿なのだと実感し、ますますやる気が出るのである。モチベーションの維持は重要なのだ。

 

続く

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 その②へ続く

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その②

 

技術士二次試験対策 技術者倫理とは? 論文への活かし方

 もう1か月もしたら二次試験の筆記試験が行われます。皆さん対策は万全でしょうか。令和元年度の試験より必須科目が論文形式になり、評価項目には技術者倫理と明確に記載があります。

 

 技術者倫理について理解を深めることは試験勉強にもつながります。正直キーワードを覚えるよりも、このコンピテンシーをどのように論文に落とし込むか、という点はかなり頭を悩ますのではないかと思います。私も最後まで悩みました。よって今回は技術者倫理について記事にしてみます。

 

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技術者倫理とは

技術者倫理の説明は技術士会の資料をそのまま引用させていただきます。

 

技術者倫理

・業務遂行にあたり、公衆の安全、健康及び福利を最優先に考慮した上で、社会、文化及び環境に対する影響を予見し、地球環境の保全等、次世代にわたる社会の持続性の確保に努め、技術士としての使命、社会的地位及び職責を自覚し、倫理的に行動すること。

・業務履行上、関係法令等の制度が求めている事項を遵守すること。

・業務履行上行う決定に際して、自らの業務及び責任の範囲を明確にし、これらの責任を負うこと。

出典:技術士に求められる資質能力(コンピテンシー):文部科学省

 技術士は技術者倫理を有していることを求められています。

 以前指導技術士の方からこんな質問をされたことがあります。

科学者と技術者の違いはわかりますか?

・・・前者は科学について研究する者、後者は科学を応用する者です

間違っていませんが、それでは不十分です。技術士なら、技術者は倫理的行動に基づいて科学を応用するものと答える必要があります

なぜ技術者にだけ倫理的行動が必要なのですか?

科学技術は善悪どちらにも応用出来てしまいます。例えば科学技術を応用して兵器を生み出した技術者は、倫理的な行動が出来ていないと言えます

 

 つまり、技術を応用し社会に貢献することが技術士に求められるのです。 技術士法第45条の2にもある公益の確保の責務が一番重要であると認識する必要があります。例えば、口頭試験において「技術者倫理の何を一番重要視しますか?」の答えは公益の確保となります。

 

 

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技術者倫理と必須Ⅰ

  技術者倫理は技術士にとって必要なコンピテンシーです。筆記試験の必須Ⅰにおいて、評価基準にもなっています。例えば昨年の機械部門の必須Ⅰ-2はSDGsに関する問題でしたが、(4)で「業務遂行において必要な要件を機械技術者としての倫理の観点から述べよ」とあります。ここでいかに倫理的な回答が出来るか?がポイントになります。

 私の場合は、(3)でリスク対策として品質機能展開(以下QFD)により品質やコストへの偏りを無くし、全体最適化を図ると回答したうえで、(4)では環境負荷低減のためにQFDの品質特性展開表に環境負荷低減の評価項目を追加し、重点を置いた設計を行う。そしてライフサイクルアセスメント(以下LCA)により設計した製品の環境負荷を評価し、改善に努める。と回答しています。LCAについてはISO14040~14043において規格化されていますので確認してみてください。

 技術者倫理の中でも公益の確保をメインに解答する場合、環境負荷低減に関する項目を心掛ける。また令和2年度以降は新型コロナウイルス感染予防対策を盛り込むと良いかと思います。

 

最後に

 必須Ⅰは必ず技術者倫理に関する解答を求められるとおもいますので、どんな問題が来ても自分の考える技術者倫理、公益の確保を用意しておけば、スムーズに解答できると思います。ある意味得点が稼げる問題であるといえます。そして、技術士二次試験は必須Ⅰの判定がB以下で不合格です。選択Ⅱ,Ⅲのように、他で挽回出来ません。よって試験対策としても技術者倫理を押さえておくのはとても重要なことなのです。

 

 そしてさらに重要なこととして、技術士試験はすでに技術士であるという意識で臨む必要があります。倫理的な行動を日頃から心がけることで、試験においても自然と倫理的な解答が出てくると思います。