30代技術士の成長記録

令和元年度技術士二次試験に合格した30代技術士(機械部門)の成長記録です

技術士二次試験 筆記試験対策 在宅模試を受験しよう

 あと1か月ほどで令和2年度技術士二次試験の筆記試験ですね。正直1か月前というのはスケジュール的にもかなり身動き取れない状況になってきています。例えば模擬試験は、主催者側の採点の都合上2週間前までしか受験できないと思われます。(今年なら8月中開催のケースが多い)

 私はどちらかというと『模試は受けた方が良い』と思ってますので、まだ模試の受験を決めかねている方は、この記事を参考にしていただければと思います。

 

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模擬試験とは

  本番さながらの練習が出来る有料講座です。試験会場の雰囲気や時間配分(開始時間や休憩時間をそのまま再現している場合もある)が体験できるため、毎年受講される方は多いです。私は諸事情で受講しておりませんが。

 詳しくは以下の記事に書いておりますのでご一読ください。 

chuckmechanicalpe.com

 

令和2年度の模擬試験

 コロナ禍で会場での模擬試験を開催する講座は少ない印象です。『技術士二次試験 模試』で調べたら多くの講座がヒットします。模擬試験の会場に行って新型コロナウイルスに感染したとなれば、本番は受験会場に行くことすらできないかもしれません。技術士を目指すのであれば、リスクを考慮し適切な判断をしたいところです。要は在宅模試一択ということですね。では在宅模試のメリット・デメリットを見ていきます。

 

在宅模試のメリット

・コロナウイルス感染のリスクが低い。(家族が感染しており接触する機会が増える分絶対安全とは言えない)

 仮に自分が感染したとしても受験できる。

・地方在住の場合、移動手段を考慮する必要がない。費用が抑えられる。

・自分の好きな日時に受験できる。

 

在宅模試のデメリット

・集中力が維持できない。

・本番の雰囲気が味わえない。強制力のない中で長時間の論文作成に耐えられるか不明。

・その場で添削してもらえない。

・答案を送付する手間が発生する。

 

まとめ

 デメリットもあるとはいえ、本番にマイナスになる要素はありませんので、受験したほうがいいと思います。しかし、模擬試験とは名ばかりで、他の論文添削と何が違うのか?という意見もあるかもしれません。

 添削の機会が増えることもメリットの一つではありますし、一応その年の出題予想の範囲で作成しているはずですから、受験した方が合格率は上がると思います。受験料は高額ですが、半年にも及ぶ努力が報われるよう、可能な限り投資したいですね。

技術士二次試験対策 技術士プロフェッション宣言について

 今日は日本技術士会が発行している技術士プロフェッション宣言について記事にします。技術士二次試験前に必ず目を通しておいたほうが良いかと思いますので、是非最後までお付き合いください。

 

 

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技術士プロフェッション宣言とは?

 ここはそのまま日本技術士会の説明文を引用させてもらいます。

2007年1月に技術士の行動原則を示した「技術士プロフェッション宣言」を社会に向けて発信しました。公益社団法人日本技術士会の理念とすべき“技術士のあり方”について、「技術士プロフェッション宣言」は、会員、会員以外の技術士および技術士を目指す技術者を含めた社会に対し広く示すものです。

出典:技術士プロフェッション宣言|公益社団法人 日本技術士会 

※以下同様

 

 私も技術士を知らない方向けに、技術士について説明する時は参考にさせてもらってます。日本技術士会が発行している公式資料ですからね。

 技術士としてあるべき姿を社会に向けて発信し、存在意義を認識してもらうことで、技術士の活動範囲が広がります。それにより公益確保の場が増えると解釈しています。逆にこの指針に則らずに行動すれば、それは社会的信用を失うことになりますし、活動が制限されてしまいます。これは技術士全体にとって大変不利益になりますので、知らなかったでは済まされないでしょう。

 技術士プロフェッション宣言を意識して行動することは、技術士法第四十四条(信用失墜行為の禁止)や第四十五条の二(技術士等の公益確保の責務)などを守ることに繋がるのです。技術士法を意識して試験に臨むのは鉄則です。よって技術士二次試験受験の際は、これを参考にし技術士らしく振る舞うよう努めました。では、どの点をどのように試験に活かせばいいか?もう少し詳しく解説してみます。

 

試験対策用解説

技術士の行動原則

1.高度な専門技術者にふさわしい知識と能力をもち、技術進歩に応じてたえずこれを向上させ、自らの技術に対して責任を持つ。

 筆記試験においてはコンピテンシーの専門的学識、そして口頭試験では継続研鑽にて必要な概念です。筆記試験においてはいかに自分の知識量と内容が技術士にふさわしいかアピールする。口頭試験ではそれらを日々どの様に向上させているかアピールします。

2.顧客の業務内容、品質などに関する要求内容について、課せられた守秘義務を順守しつつ、業務に誠実に取り組み、顧客に対して責任を持つ。

 技術士法第四十五条の技術士等の秘密保持義務ですね。ここは口頭試験では押さえるべき点でありますが、筆記試験では問題形式上あまり関係のない項目ですね。

3.業務履行にあたりそれが社会や環境に与える影響を十分に考慮し、これに適切に対処し、人々の安全、福祉などの公益をそこなうことのないよう、社会に対して責任を持つ。

 公益の確保ですね。技術者倫理としては最も優先して考えなければならない項目です。試験においては様々な角度から公益確保に関する考えを述べると良いでしょう。例えば、機械を設計するには、オペレータの安全を考慮する必要がありますし、健康被害を及ぼさないよう有害物質の排除が必要です。また持続可能性も考慮し、環境配慮設計を行わなければなりません。このように様々な角度から留意点を述べ、公益確保を重要視している点をアピールします

プロフェッションの概念

1.教育と経験により培われた高度の専門知識及びその応用能力をもつ。

2.厳格な職業倫理を備える。

3.広い視野で公益を確保する。

4.職業資格を持ち、その職能を発揮できる専門職団体に所属する。

 1~3項は技術士の行動原則と被ってますので、4項のみ解説します。技術士がその資格を活かすためには、専門とする分野の団体に所属しなければなりません。なぜなら日々の研鑽は就業中にも必要だからです。業務外での研鑽はもちろんですが、日々の仕事を通して新しい技術に触れたり自らの専門技術を使うことで、技術力を常に向上させることが出来ます。技術士はコンサルタント資格ですから優れた技術力が必要です。ここは業務経歴票にて見られるポイントかもしれませんね。つまり口頭試験で重要になってきます。

 

 

最後に

 技術士プロフェッション宣言を筆記試験や口頭試験に活かすなら、コンピテンシーと照らし合わせながら、より具体的な技術士像をイメージしそれをアピールする力を身に着けます。技術士試験は、国に仕える技術者の採用試験の様なものだと考えています。ただ知識や経験をアピールするのではなく、上記のような指針を踏まえたうえで必要とされている技術者像を意識して答案を作成したいですね。

技術士二次試験機械部門 ものづくり白書2020年版解説

 前回予告した通り、今回はものづくり白書2020年度版の解説をしていきます。

 

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 令和元年度も含め、前年度のものづくり白書を参考に問題が作られることがありますので、今回勉強するなら2019年度版です。が、試験が2ヶ月延期になったことと、新型コロナウイルスへの考え方を見るという意味で2020年版ものづくり白書も読んでおく必要があると考えています。

 ものづくり白書は300ページほどありますので、全てを今から読み込むのは得策と言えません。

 前回ものづくり白書の勉強方法について記事にしました。その中で総論を押さえるというのがありましたね。令和2年度のものづくり白書は、2020年度の総論までは押さえましょう。

 

総論の要約

 忙しい方向けに、簡単に要約してみます。ここから更に自分で読み理解を深めてください。

 

概況

・新型コロナウイルスは我が国の製造業に影響を及ぼしている。

・感染地域は中国から米国、欧州にも広がった。経済活動の制限から我が国の経済的ダメージは深刻である。

・経済へのダメージは過去にバブル崩壊やリーマンショックに加え、東日本大震災など自然災害があり、その度乗り越えてきたが、新型コロナに関しては今まで以上の変革が求められる。

・2020年版白書は高まる不確実性への取り組みの在り方に焦点を当てて分析している。

 

不確実性時代の製造業の在り方

・過去のものづくり白書(2018年度)において示した課題

 ①人材の量的不足、抜本変化に対応できないおそれ

 ②従来の製造業における強みが成長や変革の足かせになるおそれ

 ③経済社会のデジタル化等の大きな変革期の本質的なインパクトを経営者がにんしきできていないおそれ

 ④非連続的な変革が必要であることを経営者が認識できていない恐れ

 当時は第四次産業革命の到来を意識していた。

・上記課題やその後の環境変化を意識した戦略

 ①世界シェアの強み、良質なデータを生かしたニーズ特化型サービスの提供

 ②第四次産業革命下の重要部素材における世界シェアの獲得

 ③新たな時代において必要となるスキル人材の確保と組織作り

 ④技能のデジタル化と徹底的な省力化の実施

・上記は新型コロナウイルスに関係なく依然として当てはまる。

・しかしこのような事業環境に伴い経営者の認識は高まっている。

・2020年度は、我が国製造業が環境変化を乗り越えるための新たな在り方を模索している。

・不確実性の時代において取るべき戦略

①企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)強化の必要

 企業変革力とは、不確実性がもたらす変化に対応すべく自己を変革していく能力

②企業変革力を強化するデジタルトランスフォーメーション推進の必要

 ーデジタル技術は企業変革力を高める強力な武器。不確実性の時代には企業変革力の強化に結びつけられる企業が競争に生き残る。

 ー統計では素直に対応できない実態が浮き彫りになり、様々な課題が明らかになっている。

③設計力強化の必要

 -変化に迅速に対応するべく、製品設計・開発のリードタイム短縮が必要

 -企業変革力の強化には設計力強化が重要

 -デジタル技術の活用

 -設計力はあまり向上していない。デジタル化による設計力の強化が急務。

④人材強化の必要

 -デジタル化のボトルネックは人材の質的不足

 -人材確保と育成により、付加価値創出による個々の労働生産性の向上が重要

 -育成においては「数理・データサイエンス・AI」のリテラシー教育を進めるなど全国民にデジタル技術力の教育が必要。

2020年度ものづくり白書の流れとまとめ

・3章において、人材育成に資する取組、各学校段階における取組、ものづくり基盤技術や産学官連携を活用した研究開発の取組などについて現状や今後の方向性を纏めている。

・パンデミック、貿易摩擦、保護主義、地政学リスク、自然災害などの「不確実性」を克服するための戦略は、企業変革力の強化。つまりデジタル技術の活用による設計力の強化することである。

 

                                    以上       

まとめ

  2020年版ものづくり白書のキーワードは不確実性ですね。

 不確実性を克服するための施策を論文で求められるケースが考えれられます。例えば要約にもありましたが、デジタル技術の応用は喫緊の課題ですので、リモート技術が重要。その為にもIoT、5Gを活かすことを考えなければなりません。

 また、途中で設計力強化の必要とあります。私は機械部門機械設計の技術士ですので、本当に共感できる内容です。この時代、変化に対応できるだけでなく、余計なコストを発生させないシステムづくりが重要です。ただでさえ感染症対策で経費がかさみますので、マイナスをいかに0に持っていくかというところも重要でしょう。

 技能継承の問題はこのご時世にもついて回りますね。従来通り、ナレッジマネジメントシステムの構築なども盛り込むことも重要です。設計力の低下を防ぐには、他社に依存しないものづくりを進めなければなりません。R&Dはこの不確実性の時代には難しいと思われますが、活路を見出すためにも産学官が連携藻とる。オープンイノベーションの概念を普及させる必要がありそうです。

 以上より、この不確実性を克服するための課題と方策を技術士二次試験で問われたら、私なら設計力強化にフォーカスして論文を作成します

 

 更に具体的な内容を知りたい場合は、後に続くページを読み込んでいく必要があります。時間がないのであれば、気になるページのみ読み込むのも一つの戦略です。ご自身の残された時間にあわせて勉強してください。

※技術士であるならば、常に最新の白書の内容を理解しておく必要がありますけどね。

技術士二次試験機械部門 ものづくり白書の勉強方法

 今回は技術士二次試験においても重要な資料である「ものづくり白書」について、勉強方法を解説していきたいと思います。

 

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ものづくり白書とは?

 技術士二次試験を受験される方で白書を知らない方はいないと思いますが、念のため解説します。白書とは政府の省庁ごとにその分野の現状や活動状況、将来像などを明らかにした公式文書で、政府つまり国が国民に対して情報を提供するための手段として利用されています。白書には経済白書、ものづくり白書、エネルギー白書、環境白書、国土交通白書などがあります。

 ものづくり白書とは以下のように定義されています。

「ものづくり白書」は、「ものづくり基盤技術振興基本法」第8条に基づき国会に毎年報告する年次報告書で、政府がものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策を取りまとめたものです。

厚生労働省ホームページより

  ものづくり白書には、製造業に関する現状から将来展望までを理解するのに重要な情報が集められており、これらは技術士二次試験特に筆記試験において大いに活用できます。ものづくり白書は毎年発行されており、二次試験においては前年(例えば2020年の試験なら2019年)の白書を読み込む必要があります。本年度令和2年度の試験は2019年のものづくり白書です。それではものづくり白書をどのように勉強していけばよいのか?具体的に説明していきます。

 

ものづくり白書の勉強方法

なぜものづくり白書なのか?

 技術士は国が認めた技術者=国の考えに共感しているものという扱いですから、まず国の考えを理解しなければなりません。それに基づき課題の設定や解決策を論文でアピールする必要があるのです。

 技術士は21部門から構成されているため、関係省庁が発行している白書を知ることから始めなければなりません。例えば、機械部門ならものづくり白書をまず押さえたいです。ものづくり白書には、その時代毎の問題に対する考え方や、課題への取り組み方などが記載されています。これは大企業、中小企業へのアンケートた統計情報をもとに考察されたものです。つまり客観的なデータとして技術士試験に活用できます。また、将来展望や実際に国が進めている施策が明らかにされており、解決策の糸口になり得ます。

 以上の理由から、ものづくり白書を押さえる必要があることが分かります。

 

 注意しなければならないのは、記載内容をそのまま論文として書いても点数にならない恐れがあるということです。あくまで国が示した方針に従い、独自の意見を述べることに集中します。 

データよりも本で読もう

 まずものづくり白書は先行で経済産業省のホームページより確認できます。つまり無料で読むことが出来るのです。その後暫くしてから書籍化され、こちらは有料で4000円弱します。

 

 昨今ペーパーレス化が進み、本もタブレットで読む時代になりましたが、この白書もデータ版ならスマホでいつでもどこでも見ることが出来ます。この活用方法自体は間違っていないと思います。しかし、私はそれでも本を購入して読むことをお勧めします。

 理由は2つ。一つは編集しやすい点です。大事な部分にマーカーを入れたり、メモを書き足す、自分の意見を入れるなど、ただ眺めるよりも勉強効率が上がります。他の資料と紐づけることで、理解も進むでしょう。

 二つ目の理由は情報が吸収しやすい点です。スマホやタブレットは他にも用途があり、なかなか集中できません。また簡単に見ることが出来るので、自分の知りたい情報しか頭に入ってきません。ものづくり白書というのは300ページ以上ありますから、欲しい情報があれば検索をかけてすぐにたどり着くことが出来ます。しかしそれでは断片的な情報しか入ってきません。出来る限り流し読みでもいいので一通り目を通してほしいと思います。その中で、必要な情報を得るためにページをめくる過程で何度も目にする情報が、やがて全体像を容易にイメージするための基盤となるのです。 

インデックスシールを貼ろう

 とはいえ、やはり資料として毎回300ページを端から端まで眺めるわけにはいきません。本当に必要に迫られた時のために、情報を整理すると良いです。私の場合はインデックスシールを貼るようにしています。この行為、実はかなり時間がかかります。しかしそれにより、本文をじっくり眺める時間を作れるとも言えます。私は常に無駄な時間を単に無駄な時間と切り捨てるのではなく、何かに活かせないか?と考えながら行動しています。勉強でも同じことが言えますね。 

総論を押さえる

 前述した通り白書はかなりのボリュームです。文字が比較的多いですし、初めて聞く単語も多いかと思います。一通り読んだだけで中身を覚えれる人ってなかなかいないはずです。しかし、概要だけインプットできれば、時間がかかっても記憶が定着しやすいです。常に話をつなげながら読むことが出来るからです。その為にも冒頭の総論を押さえましょう。試験前の復習も、だらだらページをめくって眺めるくらいなら、総論で大まかな流れを復習したほうがマシです。

数字は正直覚えられないので後回し

 数字を論文に入れることで論述の説得力が増します。しかし諸刃の剣です。数字は言葉よりも覚えにくく、そもそも出やすい数字というのがこれといって無いため、無理に覚えようとするものでもない、と個人的には考えています。実務ではその都度調べて使う類のものですね。よって、基本的には覚える必要はないと考えます。~は~の3倍くらいとか相関性を覚えておくくらいなら良いかもしれませんが。 

関連キーワードを事前に勉強しておく

 IoT、AI、5G、SDGs、Society5.0など関連するキーワードが予め理解できていると情報の吸収スピードが速まります。逆になぜこのキーワードが必要なのか?というのもものづくり白書を読めば理解できますので、並行して勉強していきたいです。

 

 

 

 

最後に

 今年に入って猛威を振るっている新型コロナウイルスの影響で、技術士二次試験の日程も2カ月後ろにずれました。ものづくり白書は、例年問題文の作成時期の関係で、前年度の白書が参考になるといわれていますが、今年はどうでしょうね。仮に問題を出されても古い情報をもとに回答すべきか悩みどころです。私なら総論だけでも2020年ものづくり白書を読み込みます。試験まで時間もありませんし、可能な限り早く私見を記事に出来たらと思います。

 ※2020年版ものづくり白書の解説を記事にしました。以下のリンクから確認ください(2020年8月10日追記) 

 

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技術士機械部門 合格後の活動記録

 今回は日記のような感じになってしまいますがお許しください。ブログタイトルにも成長記録とありますので、私が技術士になってからの活動報告をしていきます。

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技術士合格後すぐに新型コロナウイルスの蔓延で・・・

 令和元年度の技術士二次試験合格発表が令和2年3月6日。この時、まだ技術士ではないので、まずは技術士登録申請を行いました。結果的には登録まで2カ月かかりました。これは新型コロナの影響で登録業務が滞っていることと、私の書類不備がいくつかあったためでした。晴れて5月から技術士として活動できる訳ですが、私のスタートラインは日本技術士会主催の合格祝賀会への参加だったので、出鼻をくじかれてしまいましたね。これも新型コロナの影響で軒並み中止もしくは延期になっています。私の地域は中止の発表が出ていますから、来年参加出来たらしたいなと思う次第です。

 私が身を置く環境では技術士が近くにいないこともあり、どうも相談相手というか研鑽の励みになるような仲間がいなくて寂しい限りです。祝賀会参加もそれが一つの目的でした。ですからこうして技術士二次試験に関する有益な情報を提供し、来年以降の仲間を一人でも多く増やすというのが当面の目標です。

  

技術士合格後の活動報告

 技術士合格後からの活動報告としては以下になります。

  • 技術士二次試験情報発信@ブログ
  • 機械設計知識の発信@ブログ
  • 後輩指導
  • 社内広報活動

技術士二次試験情報発信@ブログ

 説明するまでもありませんが、今日に至るまで25本書いてきました。まだまだ発信したい情報がありますので、今後も試験スケジュールにあわせて公開していく予定です。特に追い込み、試験前の心構え、口頭試験に向けてと重要な記事をいくつか準備中です。もうしばらくお待ちください。

 以下リンク↓

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機械設計知識の発信@ブログ

 技術士二次試験の情報発信と並行して、機械設計に関する知識を学びたい方向けに記事を公開しています。正直言って機械設計に必要な知識は幅広く、すべてを理解することは不可能でしょう。そもそも機械設計自体が結構機械によって必要な知識が偏りがちなので、学んでも生かせる機会が限られています。知識というのは実践で使って初めて血肉となるのです。

 私のブログでは、なるべく使用頻度の高い知識を中心に情報発信を行っています。今後も継続していきますので、活用して頂けると幸いです。

 以下リンク↓

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後輩指導

 同じ業務に携わる後輩に対し、技術士としてのスキルや考え方を示しています。独学では難しい業務への応用方法などはOJTを通して身に着けてもらうようにしています。

 私が日々意識しているのは、技術士になることを強制しないこと。そして技術士試験に合格するコツや攻略法といった前置きを使わないようすることです。技術士は強制されて取得する資格ではありません。なぜなら合格後も継続して研鑽できる高い志が必要だからです。合格や資格取得が目的になるような受験の勧め方をしないよう心掛けています。

 今後の目標としては、新型コロナの影響で計画が頓挫した勉強会の開催を行うことを目標に、更に知識を深化させていきます。

 

広報活動

 以前Twitterにて報告しましたが、技術士合格の際社内誌のインタビュー記事に協力させて頂きました。技術士は私が初めて取得したということで、まず技術士の存在を広く知ってもらうこと。そして技術士を目指す方が増えること。この2点を目標にして臨みました。

 社内誌は全社員1000以上の元へ毎月配布されます。思った以上に効果がありました。合格祝いのメッセージに留まらず、前向きなメッセージが多数届きました。例えば、

『私も技術士を目指したい。』

『忙しくて諦めていたけどTOEICで高得点目指す。』

『技能検定を合格したい。勉強方法を教えてほしい。』

などです。一番嬉しかったのは、人事部の方からも努力することを努力したいといった内容のメッセージを頂いたことです。人が成長するために必要な燃料は、向上心だと思います。この向上心を抱くきっかけとなれたなら、今回の掲載はひとまず成功といっていいのではないでしょうか。

 今後は社内誌などを活用し、ブログのような情報発信を行っていきたいと思います。また社内技術士会の発足や企業展への出展を通して、対外的にも技術士としての活動報告が出来ればと思います。

最後に

 活動報告の中には私自身の研鑽があまりなかったように思います。今後はブログの更新と並行して自身の研鑽について時間を割くよう努めます。例えば、機械設計にはハードだけではなくソフト、電気の知識も必要です。網羅的に扱えるような技術者となれるよう今後努力していきます。また、技術士資格においては総合技術監理部門の取得を考えています。それらの過程についても、このブログで記事にしていければと考えております。

技術士二次試験 令和2年度試験日決定 勉強スケジュールを再考しよう

 本日、日本技術士会のホームページより、技術士二次試験の試験日が以下で発表されました。

 

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試験日時
【総合技術監理部門の必須科目】
令和2年9月21日(月)午前12時~午後2時、午後2時半~午後6時
【総合技術監理部門を除く技術部門・総合技術監理部門の選択科目】
令和2年9月22日(火)午前12時~午後2時、午後2時半~午後6時
※試験会場内で昼食をとることはできませんので、事前にすませて来場してください。
受験票の発送
令和2年8月下旬

筆記試験合格発表
令和3年1月上旬
口頭試験日
令和3年2月上旬から3月中旬(筆記試験合格者にあらかじめ通知する)
※試験日時の指定・変更は一切できません。
合格発表
令和3年4月下旬

 

 具体的に日付が決まるといよいよ、という感じがしてきますね。本日が7月17日ですので、2ヶ月強あります。ここからの勉強スケジュールを立て直すことで、モチベーションの向上につながります。またここで模擬試験が再度予定される場合もありますので、一度調べてみてはいかがでしょうか。私も情報が入り次第皆さんに共有出来ればと思います。やはり直前に実践感覚を養うことは重要です。

 過去記事でスケジュールの立て方について記事にしましたので、そちらも併せて確認ください。 

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技術士二次試験の合格は早ければ早い方が良い

 私のプロフィールにあるように、昨年度の技術士二次試験に合格し、機械部門の技術士になりました。これで30代のうちに技術士になることができたため、目標の一つがクリア出来ました。それでは何故30代で合格することに拘ったのか?理由を以下に示していきます。この記事で伝えたいことは、皆さんにも早いうちに技術士取得を考えていただきたい、ということです。

 

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技術士二次試験合格の平均年齢と分布

 まず二次試験の合格者統計情報より、30代とそれ以外で比較し、30代の受験に優位性があるか見てみます。

 日本技術士会の『令和元年度技術士第二次試験統計』によると、合格者の平均年齢は43.3歳。この数字だけ見ると、経験年数20年の熟練技術者が合格できる試験と思わせてしまいます。しかし騙されてはいけません。分布を見ればわかる通り、30代の合格者が大変多いです。20代合格者も147名とむしろ50代よりも多く、イメージと異なります。確かに私が口頭試験会場(フォーラムエイト)の待合室に訪れた際、40〜50代の方が多い印象でしたので、これには驚きを隠せません。

  図:令和元年度年代別合格者数

 

 そこで合格率を見てみます。30代は13.6%でした。次に合格率が高いのは50代の11%です。このことから管理職や係長などの重要なポジションについていない30代の方が、勉強時間も確保しやすいということでしょうか。また、勉強にも体力を使いますのでより若いほうが長い時間集中出来るということかもしれません。

 纏めますと、30代で技術士になることは大して早くもなく珍しくもないということです。そして、技術士として必要な経験年数が得られた頃が、最も勉強し易い環境にあるといえます。(業界、会社、職種そして個人の家庭環境などによって程度にばらつきはあると思います)

技術士合格には経験が必要

 試験合格に必要な要素として技術者としての経験があると認識されている方も多いでしょう。しかしそれがどの程度かきちんと把握できていますか?筆記試験や口頭試験の合格時参考答案を見れば大体予想出来ますが、ボーダーラインが分かりませんよね。それでも20代で合格される方が多いわけで、最短で27歳(技術士補に準ずる資格を有して技術士から4年以上指導を受ける)の合格者もいます。

 私が思うに、専門的知識だけでなくコミュニケーションやマネジメント力を4年間で相応のレベルまで上げることは、かなり難易度が高いです。何故なら、仕事運に恵まれる必要があるからです。私たち社会人は、必ず技術士にふさわしい仕事ができるとは限りません。例えば新人に相応しい雑用のような仕事も与えられますし、延々と研修のようなものを受けている期間もあるでしょう。どのような仕事を任されるか?それはすなわち仕事運があるかどうか次第なのです。

  私がお勧めするのは、経験年数が得られたら即受験ではなく、まず独り立ち出来るような仕事環境が整ってから、経験年数を数える。すなわち4年目~10年目の経験を経て受験する30代前半が望ましいと考えます。自分の考えを持って創意工夫をし、自らの力によって問題解決にあたれる能力を有していること。技術士試験はここを見られます。

 技術士二次試験を30代で合格することに拘った理由

 ここでは30代で技術士になることをお勧めする理由をお伝えしたいと思います。

技術者として長い期間仕事が出来る

  技術士を取得するメリットの一つに生涯技術者として生きられる、という点があります。技術士の方で定年後も技術士として独立し、仕事を続けられる方も一定数います。

 それでも体力と気力には限界があります。技術士として技術を追い求めるなら、時間は有限であると認識すべきです。前述のとおり、技術者としての仕事内容というのは仕事運に左右されることも少なくありません。しかし、技術士というパスポートがあれば、自分でその運を引き寄せることが可能なのです。

 多くの人がやりたい仕事が選べない中、やりたい仕事を選ぶ権利を得ることが出来るかもしれません。これは技術士に限ったことではありますが、所詮技術者の世界は技術力がものをいうということです。

転職・異動が容易

 多くの場合、技術者として完成するころには、既に会社における立場は確立されています。例えば技術士を40代、50代で取得される方はすでに管理職かその専門分野で第一人者である可能性が高いですね。その場合、会社の立場や自身の過程状況的にも異動や転職のハードルは高まります。よって、まだ重要なポジションについていない20代、30代前半に技術士を取得することで、今の環境からの脱却が容易に行える可能性が高いです。私も現状に満足している側の人間ではありませんので、当然次のステップや別の環境を見越しての挑戦でした。

 

※2022年5月21日更新

2022年4月1日より新しい会社で働くことになりました。技術士の資格を取得して心の底から良かったと思っています。↓以下関連記事です。

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人脈が広がる

 様々な理由で今よりも人脈を広げたいと思っている方は多いのではないでしょうか。しかし、人脈というのは足を動かすだけではなかなか難しいというのは世間一般における共通認識です。そこで、技術士資格は人脈形成に有効であると以前の記事でもお伝えしたかと思います。では資格取得時期が早いのと遅いのとでどう違うのでしょうか?

 出会いというのは、頻度が同じであれば期間が長ければ長いほど増えていきます。その人の立場によっても変わってきます。例えば平社員よりも、係長、課長の方が外部の人との接触機会は増えます。技術士に関してはその道の専門家ということで、役職に関係なく重要な取引に参加させられる機会も増えます。

 また技術士や技術者コミュニティーへの参加機会も増えます。これは資格があるかどうかで世間の評価が変わることを意味します。こと仕事においては、同じ会社でない限りお互いにメリットがないと縁は長続きしません。技術士はコンサルタント資格です。相手に付加価値の高い情報を与えられます。よって初めから高い信用を与えられるので、自然と人との関わりも増えていきます。

 このように、出会いの数が様々な場で増えていくことが考えられます。今後機会があれば、実際にどう変わったか?私の目線で記事を書いてみたいと思います。

 

最後に

 技術士を取得する上でいかに30代で取得することにメリットがあるかをお伝えしてきました。しかし、30代とは人生において様々な変化が起こり得る時期です。仕事においても予期せぬ異動や転職、結婚出産など重なる時期です。場合によっては、それらが落ち着いてから受験を考えてもいいと思います。

 この記事で伝えたいことは、技術士取得は若ければ若いほどその後の活躍の場が多くなる、そして目指せる時間、体力的余裕があるのなら今目指しましょうということです。意味もなく先延ばしにすると後で後悔します。私の場合も決して楽な環境ではありませんでしたが、今はそれを乗り越えて技術士になれました。何年か前に目指すことを決心した自分を褒めたいと思います。

 

 この記事をきっかけに、技術士を目指す人が一人でも増えたら幸いです。 

 

技術士二次試験 家庭あり、幼い子供がいても合格する週間スケジュール

 新型コロナ禍で在宅勤務を導入している企業が多く、実際に在宅勤務をしてみて1番の悩みの種は家庭環境にあるかと思います。特に、幼いお子さんがいる過程では、会議中にも関わらず喋りかけてきたりして冷や汗物ですよね。

 しかし、このような悩みは在宅勤務に限ったものではありません。例えば日中に資格の勉強をしようとしても同じ理由でまとまった時間が作れません。ではどのようにこの状況で勉強を継続していけるでしょうか?私の経験をもとに解決策を提案するとともに、実際に私が技術士二次試験を受験した時の週間スケジュールを公開します。

 

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手っ取り早いのは睡眠時間を削ること

 子供の活動時間は7時ごろから21時ごろまでの14時間です。残りの10時間をいかに有効に使うかがポイントです。そのうち睡眠時間が大半を占めますが、総務省の『平成28年社会生活基本調査 生活時間に関する結果』によると、平均で7.40時間となっているようです。例えば朝から仕事に行く人だと、6時に起床として、就寝は23時ですね。私の感覚だとちょっと早いかな、という印象です。それでも子供が寝静まってから2時間確保できますこの時間を他の誘惑に負けずに勉強時間に充てれるかどうかが大変重要です。私の場合、少しは一人でくつろぐ時間が欲しかったため、1~2時間は余分に起きていますね。それでも5時間の睡眠時間が確保できるわけですが。5時間は健康を害することのないぎりぎりのラインかなと思います。当然個人差はありますので、このぎりぎりを見極めて、少しでも勉強時間を確保するための算段をしましょう

 

7時間以上の睡眠は過剰?慣れに注意

 私で言うところの資格試験終了後のオフシーズンは、比較的早く寝ることが多いです。例えば子供を寝かしつけてそのまま寝てしまいます。そうすると、睡眠時間は9時間ほどになりますね。これが常態化すると、23時まで起きているのが辛くなります。つまり、慣れにより必要な睡眠時間が長くもなり、短くもなるということです。可能な限りリズムよく必要最低限の睡眠時間となるよう調整しましょう

 

通勤時間を勉強に利用する

 家庭から完全に離れている時間帯は、仕事をしている時ですね。理想は仕事をしながら勉強が出来たらいいのですが中々難しいです。そこで、家から会社に辿り着くまでもしくは会社から家に帰るまでの時間を有効に使います。私の場合往復で2時間ほどありますから、かなりの時間を勉強に充てられます。しかし机に向かって勉強するよりも効率は悪いので、この勉強方法が主体にならないよう気を付けましょう

 車の方は、スマホに自分の声を録音して聞き流しましょう。技術士二次試験で言うと、キーワードや論文になりますね。

 電車の方は聞き流しでもいいですが、視覚を使った勉強の方が効果的です。単語帳を用いた暗記学習を行いましょう。

 

休日は細かく勉強時間を積み重ねる

 休日は普段仕事でいない分、日中は家族サービスや家事をしなければならないことも多いです。しかし、それは四六時中ではないですよね。よく0か100で話をする人がいますが、70や20という表現でいくと、勉強に充てられる時間は0ではないことが分かります。

 例えば朝6時に起床します。朝ごはんの準備、掃除洗濯などを奥さんの代わりにしたとして9時ごろ一息付けます。ここで11時まで2時間勉強します。少し休憩して昼ご飯を作って食べ、13時から子供と遊びます。16時ごろ夕飯の支度までの1時間勉強します。19時にご飯を食べ終え、お風呂に入るまで1時間勉強します。21時に子供を寝かせます。以降は平日と同じです。つまり、合計で6時間勉強できますね。少しずつの積み重ねが多くの勉強時間の確保に繋がります。これが多いか少ないかは個人で判断してください。私の場合、これ以上は疲れが抜けずに、仕事へ支障をきたす可能性がありましたのでこれが限界です。

  

技術士二次試験に合格した際の勉強スケジュール 

 以上より、私の週間スケジュールを公開します。参考になれば幸いです。

 平日の勉強時間は2時間、休日の勉強時間は6時間で合計22時間ですね。あくまで理想ですから常にこの通りには行きません。重要なのは毎週継続して目標の勉強時間に到達するよう調整することです

 

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 最後に

 いかがでしたか?思ったよりも時間があると認識できた方も多いのではないでしょうか。時間がないという言い訳は諦める為の口実です。まずは継続するために計画を立てましょう。そのためにも、以上の情報を参考にしていただけたら幸いです。

 また、勉強時間というのはあくまで目安です。その時間を使っていかに中身のある勉強をするか?が最も重要です。関係ないキーワードをひたすら覚える、論文を丸暗記するなど間違った勉強方法に時間を費やさないよう気を付けたいものです。成果は勉強時間X質の掛け算であるという認識のもと、勉強計画を立てるよう心掛けてください。

  ちなみに時間を計って論文を書くときは、奥さんに協力してもらってまとまった時間を作るようにしていました。試験前等もそうですが、ここぞというときには家族に我慢してもらうことも必要です。その分試験後は普段より多めの家族サービスをしてあげましょう。

技術士(機械部門) 設計とは何か

 今回は、これから設計に携わる人、中々上手くいかず苦労している方向けに、設計について記事にします。なるべく簡素な内容にするつもりです。所々に出てくるツールや手法については簡単に解説を加えますが、詳細はご自身で調べて頂くことをお勧めします。この記事をきっかけに設計への理解を深め、技術力向上の一助になれば幸いです。

 

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1.設計とは

 目的を実現するために、具体的な手段や方法を考え、全体最適化を図りながら課題を解決する作業のことです。機械を生み出す上で無くてはならない工程です。技術士機械部門においてにも機械設計という選択科目が存在します。

 設計の流れをここでは設計プロセスといいます。設計プロセスは製品開発工程の一部であることをまずは理解しておく必要があります。

 

2.製品開発の流れ

 製品開発は主に

Step1.企画

Step2.構想設計

Step3.詳細設計

Step4.試作評価

Step5.量産化

の段階に分かれており、設計プロセスは主にStep2.構想設計、Step3.詳細設計に該当します。(Step.1企画が構想設計に含まれるという解釈もあります)

 しかし、このStepは各々が独立した工程ではなく、お互い大きな影響を及ぼしています。例えばフロントローディングにおいては、手戻りを少なくするために製品製造工程のStep1.~2もしくは3の段階にコストやリソースをつぎ込むことで、全体コストの最適化を図るという考え方になります。フロントローディングに失敗すると、試作のやり直しや量産金型の変更、最悪客先での不具合発生、リコールに繋がるケースも考えられます。

 またより良い設計を行うには、Step4.試作において製造フィードバックが重要です。量産前に確実に問題を解消するだけでなく、設計者の技量を向上させられます。結果、次回の試作前にフィードバックを受けないような設計を行えるのです。現実は0にすることは不可能なので、限りなく少なくするというイメージです。

 以上より、設計は製品製造工程の一部であることを認識し、プロセスの最適化を図る必要があることがわかります。委託設計会社など設計に特化した会社においては、特に若手を中心に認識が甘い状況です。良い設計をするためには、まずここを抑えるよう教育すべきです。

3.設計プロセスを理解する

 ここではStep2.構想設計Step3.詳細設計について詳しく述べます。

Step2.構想設計

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 構想設計とは、設計のベースとなる部分つまり大枠の仕様を決める作業です。構想設計の出来で設計の全体コストやリードタイムが決まるといっても過言ではありません。設計のやり直しは後工程に進めば進むほど、影響が大きいです。前項でもお伝えしましたが、『なるべく構想設計(初期工程、上流工程)にリソースをつぎ込んで設計を品質の作りこみを綿密にする』という考え方をフロントローディングといいます。

 

Step2-1.要求仕様の明確化

 仮にニーズ型開発とします。顧客の要求仕様が何かを明確にする事は設計において非常に重要です。ここを間違えると全く意味のない設計になります。私の場合、品質機能展開(以下QFD)、KJ法などを用いて要求事項の深堀をし、真の欲求を導き出します。例えば、機械のメンテナンス性改善は、要求事項を掘り下げていくと、機械のダウンタイム短縮、工場の生産効率改善が見えてきます。つまりメンテナンス性の改善だけでなく、壊れにくい機械、メンテナンスフリーが真の要求事項になります。定期メンテナンスでは、グリースの給脂を行いますが、コストが高くなっても耐久性の高い潤滑剤へ置き換えることも一つの手です。作業性の向上だけでなく、そもそも作業を必要としないという発想に辿り着けるかどうかが重要です。

 

Step2-2.仕様を満たす構造や機構の検討

 明確化した仕様を満たすための構造や機構は、可能な限り実績のあるものの組み合わせで検討します。よく陥りがちな失敗として、構想設計をする為に0から要素を開発しなければならないと思いつめ、延々と成果が出せずにいるという状況です。技術者は既存技術を応用し、新しい付加価値を生み出すことを求められています。技術士の定義にもそうあります。つまり、なるべくシンプルで評価が容易な構造が良いでしょう。例えば複雑なリンクやカムを組み合わせたカラクリを作るよりも、購入品のアクチュエータを組み合わせたほうが信頼性が高くシンプルになることもあります。

  新しい構造や機構の開発は、トレードオフの解消がボトルネックになります。これを解消するための手法として、TRIZがあります。膨大な特許情報から得られた40の発明原理から、矛盾マトリックスを用いて現状の解決策となり得るものを選びます。全容は書ききれないので割愛します。活用してみたい方は以下をご覧ください。

 

 

Step2-3.リスクアセスメント

 構想が見えてきたら、それらが実用化されたとき、どのような問題が潜んでいて、対策が必要かどうかを確認します。リスクアセスメントの目的は、適切なリスク低減策を実施することです。リスクの程度に応じて必要に応じた対策をとることで、機能と安全を両立した機械の設計が可能です。リスクアセスメントの手順に関してはISO12100において定義されています。機会があれば、事例を用いてリスクアセスメントの解説をしてみたいと思います。

 

Step2-4.設計検証

  設計検証とは、『設計が要求事項を満たしているか、客観的なエビデンスによって確認すること』です。設計検証の手段としては、CAEや試作実験などがあります。

 CAEは3DCADなどのデジタルデータを用いて、コンピュータ上でシミュレーションや数値解析を行い、製品やシステムの事前検証を行う技術のことです。製品開発期間の短縮には欠かせません。しかし、CAEはコンピューターに任せておけばよいという訳ではありません。まず解析ツールを使いこなすこと、そして何よりも結果を正しく扱う豊富な知識が必要です。CAEによって得られた結果は、人が評価しなければなりません。結果に妥当性があるかどうか(条件が正しいか?傾向はある程度予想した通りか?など)は知識と経験により判断できます。CAEは補助的なシステムであって、検証は人の手によって行われるものだと認識すべきです。

Step3.詳細設計

 詳細設計は、構想設計によって明らかになった要求仕様を、より具体的に形にする工程です。目的や環境に応じて2DCAD、3DCADを用います。

 人によっては構想設計を上流、詳細設計を下流と呼びます。

 

Step3-1.詳細設計図の作成

  設計図は所謂詳細検討図です。詳細まで作りこみます。

 例えば、加工性を考慮し、板金・旋盤・フライス加工など加工性を考慮した形状とします。板金の場合、曲げRや曲げ限界を意識した形状へ整えます。

 また、意匠性や安全面を考慮した形状の設計なども行っていきます。例えば塗装色・範囲の決定や面取り追加などです。

 3DCADを用いる場合、それぞれのパーツに部品情報を持たせることが出来るため、次の工程への移行がスムーズです。例えば、材料や表面処理などを定義しておくことで、製図を行う方へ情報を確実に伝達できます。

 

Step3-2.図面化

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  図面化は非常に重要な工程です。何故なら、ここで間違えると今までの設計が全く意味のないものになるからです。その為にも以下の点について注意します。

・材質を間違えない。

・必要な寸法公差、幾何公差を入れる。

・必要に応じて、表面粗さ記号や加工方法の指示を入れる。

・独りよがりはダメ。加工業者との擦り合わせをする。

・加工者が間違えない、見やすい図面を描く。

 図面作成時にミスは許されないため、チェックシートの使用をお勧めします。

 また、製図技能を向上させたい場合は、機械・プラント製図技能士の資格を取りましょう。1級まで取得できれば、相当な製図知識と作図能力が備わっていると思います。3級は学生でも取得可能な難易度です。ぜひチャレンジしてください。

 図面化工程は非常に特殊です。最終工程ということもあって、全工程までの流れが一切見えなくても出来てしまいます。何故なら必要な知識は製図規格とCAD操作のみだからです。実際に、一切設計に関わっていない外注業者へ製図依頼をする方を何人か見てきました。しかし、それは誤った解釈です。実際は、図面化の前にどのような工程を経ているかを知る必要があります。つまり、構想設計と詳細検討において導き出された仕様を正しく反映しなければならないのです。当然擦り合わせが必要で、それなりに知識が必要です。そのためにも上流工程を経験しましょう。逆もまた然りで、上流工程の設計者は製図・加工時に必要な情報を知るために、下流工程を経験することをお勧めします。

 

4.設計における重要なツール

 設計プロセスにおいて各所に必要なツールを纏めてみました。各々の詳細については今後機会があれば説明していきます。

QFD→要求仕様の明確化

TRIZ→開発のボトルネックとなるトレードオフを解決する手法

FMEA→設計のリスクアセスメントツール

3DCAD→デジタルエンジニアリングの要

-PDM→CADデータやデジタル化された仕様書、部品表を一元管理するシステム

-CAE→試作LT短縮、回数削減

-CAM→生産準備の効率化、リソース不足解消

-3Dプリンタ→試作部品製造LT短縮、他部署負担軽減(リソースの確保)

チェックシート→製品の問題個所抽出、ヒューマンエラーの防止

FTA→試作・量産品の不具合分析

 

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5.最後に

 構想設計において必要なものは、設計プロセスの理解だけでなく、設計に関する多くの知識・知恵です。以前他の記事でお伝えしましたが、それらを応用する力も大変重要です。併せてご確認ください。

技術士取得のメリット 技術士二次試験

 インターネット上でよく議論されてます技術士取得にメリットはあるのか?について記事にします。長期間に及ぶ試験勉強は気持ちが落ち込みやすいですね。そんな時のモチベーション向上に役立てていただければと思います。

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一見メリットは少ないように見えるが‥

 名称独占資格である技術士は、その他業務独占資格(弁護士、医師など)と違い、一部の部門を除いて技術士でないと出来ない業務はありません。

 特に機械部門は、私のような産業機械の設計に携わるものにとってはメリットはありません。しかし、それでも受験を志す方の受験動機とは一体何でしょうか。私は少なくとも技術士が名称独占資格であろうがなかろうが目指していたと思います。元々高い志を持っていれば、自然と目指します。登山家がより高い山に登ろうとするのと同じ感覚なのではないかと考えます。

 ただ、そんな高い志がないからと技術士取得に前向きになれないという方、きっかけが技術士取得でもいいと思うんです。決して技術士は世界最高峰の山でもない、誰でも目指せてその先の人生を楽しむきっかけになる。そんな山ですね。簡単とは言いません、ただし技術士の先にある見えないゴールからしたら、スタート地点に近いのではないでしょうか。多くの成長の機会を得られる資格って素晴らしいですね。

 よって、まずメリットをあげるなら、先の技術者人生をより楽しく生きることができることだと思います。

 

身につけたスキルは本物

 資格試験はその性質上合格が目的になりがちです。なぜなら合格という結果を得ることに必死になって、その過程を大事にしないからです。

 資格試験の勉強は、その分野の知識を暗記することから始まります。しかし、大体の資格試験において出題傾向というのは偏っています。つまり重要なポイントを抑えるだけで合格できてしまう場合があるのです。これは過程を大事にしているとは言えませんし、短期間の勉強で済む場合も少なくない為、試験が終わったらすぐ忘れてしまうのではないでしょうか。

 技術士試験は、問題を推測することは可能ですが、それにしても抑えなければならないポイントが多すぎて、結局苦労を伴います。定期的に試験の出題方法が変わることもありますし、受験者の底力が試されます。運では合格できません。他の記事でもお伝えしましたが、技術士試験は受験者が技術士を名乗るにふさわしいスキルを有しているかを確認されています。試験勉強開始直後から合格ラインを超えている人はそこまで多くないでしょう。つまり技術士合格までの勉強で身につく力は、技術士としてふさわしい本物の技術力です。これはとても大きな財産です。 

 

その他のメリット:人脈が広がる

 技術士になることで人脈が広がることも考えられます。類は友を呼ぶということわざがあるように、技術に関して専門能力の高い人間の括りにされますから、当然その中での出会いも増えてくるでしょう。例えば、あなたの勤めている会社に企業内技術士会があるとします。そこは技術士かそれを志す者に入会資格が与えられます。向上心の強い人間の集まりですから、会社という小さな枠の中でも目新しい知識の共有が出来ることでしょう。自然と技術力も向上していきます。そして更には外部セミナーの講師、論文の寄稿、学会発表など様々なステージアップを経て知名度が向上し、黙っていても人が集まってくるのではないでしょうか。これはあくまで理想論ですが、最初の扉を開くにはパスポートとなる技術士資格が必要なのです

 

その他のメリット:収入が安定する

 技術士は業務独占資格ではないとはいえ、高等な専門的応用能力を備えていることを証明する資格には変わりありません。技術系の最高峰の資格である以上、需要は高いです。特に業界全体で人材不足が共通の問題となっており、技術士ほどの即戦力はどの企業も欲しています。もし自分の収入が明らかに見合っていないと感じるのであれば、一度転職活動をしてみることをお勧めします。私も以前技術士合格前に転職活動を経験しておりますが、受験勉強に専念するため断念しました。転職活動を行い、合格前後でどのように評価が変わるのか?について、今後検証してみたいと思います。

 また技術士というのは技術力を売りにする職業です。普通は定年を迎えた際、退職か嘱託社員になり収入が大幅に減ります。しかし、技術士は定年後独立する方も少なくありません。知識や経験、応用能力が生かせる限り現役でいられるのです。生涯技術者でいたいと申される方も多くいます。

 今後受け取れる年金も少なくなることが予想され、老後の貯蓄は2000万円必要とも言われています。歳をとっても職を失わないという意味では、将来性は非常く、収入も安定しているのではないでしょうか。

 

デメリットとも上手く付き合う必要がある

 しかし技術士取得はメリットばかりではありません。特に自分に自信のない方にとってはその看板が大きくのしかかります。周りの目を気にしたり、要求以上の成果を出すために苦悩することも大変ストレスになります。私の場合まだ30代ということもあり、周りの技術者と経験で劣る部分も多々あります。その差を何とか埋めるために、研鑽を続ける必要があるのです。大変な苦労を伴います。

 しかしそれだけ成長を楽しめたり、成功体験を得る機会があるということです。最初にも書きましたが、とても充実した技術者人生を歩めるチャンスです。ただ決められたノルマをこなす仕事よりも、よっぽど楽しくないですか?私はここに最大のメリットがあると断言できます。デメリットも捉えようによってはメリットに変えられます。この記事を読んだことで、技術士受験のきっかけやモチベーション向上に繋がれば幸いです。

 

有料講座をお勧めする理由

 今回は技術士二次試験において、有料講座をお勧めする理由を記事にしていきます。今年の場合、筆記試験までまだ時間がありますので一つ参考にしていただけたらと思います。

 過去に少しだけ有料講座について触れたことがありますので、その時の記事も併せて確認ください。 

chuckmechanicalpe.com

 

 

 有料講座受講のメリット

1.技術士の方に指導を仰げる

 基本的に有料講座の講師の方は技術士の方になります。技術士試験は技術士としての資質を有しているかどうかを見られます。技術士の目線で論文や口頭試験の解答を添削して頂けるというのはかなりプラスだと思います。

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2.最新情報をもとに指導してもらえる

 身近な技術士は、合格した時の試験制度や専門知識は豊富にあると思うのですが、やはりその年ごとにトレンドや制度改正がある場合、なかなか的確なアドバイスは難しいですね。有料講座の場合は、その点研究した技術士の方が情報提供をしてくれます。

 

3.人脈が広がる

 有料講座の講師の方は基本的には技術士です。講師と受講生という関係ではありますが、技術士としてのつながりが出来ます。技術士は合格率が低いこともあり、周りに何人もいるという方はまれではないかと思うのです。私の会社には私以外一人もいません。

 有料講座の講師の方というのは、業務上で関わる機会のない方かもしれませんが、0からの人脈形成というのはどんな形であれ、機会を作る事が大切です。ある程度つながりが増えたらあとは爆発的に広がっていくものです。SNSのフォロワーと一緒ですね。

 また受講生との交流は非常に大切です。もしその年に合格したら所謂同期です。特別な間柄として一生モノのつながりが出来るかもしれません。

 

お勧め有料講座

 ここで、私がお勧めする有料講座を紹介します。

ずばり新技術開発センターです。

 

pe.techno-con.co.jp

 

お勧めしたい理由は以下の通りです。

1.個人のレベルや受験回数に応じた受講スタイルが選べる。

 例えば、スクーリングが必要ない方は、論文の添削のみのコースもあります。割高に

 なりますが、添削のみであっても飛び入りでのスクーリング参加も可能のようです。

 

2.スクーリングが多くの地域で開催されている(2020年6月22日現在は中止または延期)

 有料講座は集客の関係上首都圏のみの開催も珍しくありません。しかし新技術開発センター自体は規模が大きいため、東京以外にも、名古屋、大阪にて受講出来ます。

 

3.申込書における業務経歴書の添削あり

 技術士二次試験は、業務経歴書の出来が合否にそのまま結びつくこともあるようです。特に口頭試験においては、受験前から評価が始まっているような印象を受けます。例えば突っ込みどころの多い経歴書はあらかじめマイナスからのスタートであり、試験中に挽回は難しいです。他の方がされないような厳しい質問が来ることもあるでしょう。リスク回避のために、完璧な状態の経歴書を出せるようにしましょう。

 

4.模擬試験もセットで受けられる

 スクーリングとセットなら割引価格になります。(新型コロナウイルスの影響により、在宅模擬試験の予定)

 

5.論文解答事例集、口頭試験実例集が購入できる

 合格論文の書き方は非常に参考になります。特に、図の入れ方、キーワードの使い方など実践的な情報が手に入ります。しかも、スクーリングに参加する場合、講義室にて展示販売も行っているため、中身を確認してから購入することが出来ます。新技術開発センターのホームページにて購入できます。

 

6.口頭試験前に他の受験生の質問内容が共有できる

 これは非常に大きなメリットです。他の受験生が口頭試験終了後にアンケート形式で新技術開発センターへ情報を提供します。口頭模擬試験受講生は、これらをメールで受け取れます。昨年度、コンピテンシーに沿った質問が出るという情報はここで得られました。具体的にどのような質問がされるのか?大変参考になるため、想定問答集の作成も捗ります。

 

最後に

 有料講座は決して安くはありませんが、受けた方は軒並み合格率が高まるはずです。受講せず独学で臨む場合、見かけ上の合格率よりもさらに低い合格率の壁を乗り越えなければなりませんから、どれだけ大変なことか想像に難くありません。

 ただ一つ勘違いして頂きたくないことは、有料講座はあくまで一つの手段に過ぎないということです。講座に出席したり課題をこなすことが目的になってはいけません。受講の際は、あなたが技術士にふさわしいかどうかを試されているという意識を持って臨みましょう。普段の勉強の姿勢から、技術士としての素養が育まれると思います。

 

筆記試験骨子の作り方

 

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 今回は技術士二次試験の筆記試験で重要な論文の骨子の作成方法について解説していきたいと思います。

 

 

 

 

1.論文の骨子とは?作成する目的は?

 論文の内容を簡略的に表現したものです。骨子を作成する目的としては、以下の3つが挙げられます。

・筋の通った論文にする

・全体像を意識した論文作成

・必要なキーワードを盛り込む

 

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筋の通った論文の作成

 長文あるあるですが、いきなり論文を書き始めた内容と結論が結びつかない、矛盾が生じるなどの問題が発生します。最悪1枚分書き直しといった状況にも陥ります。骨子を作成することで筋の通った論文が作成できます。筋の通った論文とは、問題文の背景とリンクしている、設問に答えられている論文です。

 

全体像を意識した論文作成

 初めて論文を書く方が失敗するケースは、書き始めたはいいが結局途中で筆が止まって時間切れになるというところです。今自分が論文のどの辺りを書いていて、時間配分が適切かわからない・・といった具合でタイムマネジメントが出来ていないためです。骨子を作成する際に章立ても行うため、時間配分を決めることが出来ます。また問題用紙に対して章を割り振り、適切な行数をあらかじめ決めることが出来ます。これにより、バランスの良い論文構成を構築できます。例えば、解決策とリスクを述べよという設問に対して、解決策に1枚丸ごと割いて、リスクは残った2行だけとなると、リスクに対する点がほとんど貰えません。設問に対して、解答のボリュームが多すぎても少なすぎても駄目だということが分かります。

 

必要なキーワードを盛り込む

 合格論文には多くのキーワードが含まれています。しかしいきなり論文を書き始めると、文章の構成に重点がおかれ、キーワードが置いてきぼりになります。しかし、骨子を作成する段階で、あらかじめテーマに合わせたキーワードの抽出を行い、確実に盛り込めます。

 

 

 

2.技術士二次試験における骨子作成方法

 以前の記事『技術士二次試験 筆記試験 問題文が攻略の鍵』において、本番の段取りについて説明しました。

 

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 その中でも骨子の作成について触れていますが、もう少し詳細を解説していきます。

①章立てを行う

 設問とリンクするように、キーワードを盛り込んだ章立てを行います。設問とリンクとは、設問に対し、大見出しを一つつくり、設問の中で2,3の解答を求められる場合は小見出しを設けます。例えば、『解決策を複数考え、そのうち最も重要と思われる解決策のリスクを述べよ』という設問なら、

3.柔軟性のある機器設計に対する解決策・留意点

3.1. 解決策

 

3.2. リスク  

3.3. 解決策

 

 といった具合です。この時なるべく短文になるよう意識します。この時点で冗長文を書くと、文字数が足りなくなり、キーワード不足になりま結果論文の中身が薄くなります。

 

②キーワードによる肉付け

 前項で作った各章に対し、関連するキーワードを列挙します。課題が柔軟性のある機器設計なので、一旦製品開発に関するキーワードをあげていきます。

この時、マトリクス表が覚えられているとアウトプット時間が短縮できます。

 

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3.柔軟性のある機器設計に対する解決策・留意点

3.1. 解決策

アディティブマニュファクチャリング、ラピッドプロトタイピング、デジタルエンジニアリング、AI、IoT、CAD、CAE、フロントローディング

3.2. リスク

安全確保が出来ない恐れ

納期遅れ

設備コスト増

3.3. 解決策

QFD、DR、リスクアセスメント、FMEA、ナレッジマネジメント、LCA、ISO9001

 

 

③キーワードの選定

 ②で列挙したキーワードがつながるように、不要なものを消し込みます。必要なもので構成した最終的な章立てが以下になります。

 

3.柔軟性のある機器設計に対する解決策・留意点

3.1. 解決策

3.1.1. アディティブマニュファクチャリング(以下AM)

3.1.2. AIによる自動調整

3.2. リスク  ※安全確保が出来ない恐れ

3.3. 解決策

3.3.1. リスクアセスメント

3.3.2. FMEA

  

3.最後に

 一つだけ注意して頂きたいのは、骨子は必ず作らなければならないというものではありません。問題用紙にも書く必要がなく、点数に結びつかないためです。あくまで論文作成のための方策の一つにすぎません。受験者の中には、頭の中でイメージするだけで合格論文をかけてしまう強者もいるでしょう。そういう方は、本文を仕上げるための時間が多く残されています。

 最終的には時間との戦いです。自分の論文記述ペースと相談しながら、どこまで骨子を作りこむか?をあらかじめ決めておくことをお勧めします。

モチベーション維持の為にすべきこと

 

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 こんにちは、チャックです。技術士二次試験の延期が発表されて、モチベーションの維持に苦しんでいませんか。資格試験の勉強はボクサーの減量と同じように思います。残り一ヶ月から徐々にペースを上げていく等して、当日にトップコンディションを持っていくよう計画されている方も多いのではないでしょうか。

 今年度の技術士二次試験においては延期が発表されました。計画が狂ってしまったという方は、いかにそこから立て直すかつまりモチベーションの維持が試験合格の鍵になります。私も過去、資格試験でありえないミスを犯して失敗した経験があり、翌年もう一度受けるまでのモチベーション維持に大変苦労しました。そこで、今回は私の経験を踏まえて、モチベーション維持のためにすべき事をお伝えしていきたいと思います

 

 

 

 

1人で抱え込まない

 同じ目標を持った仲間を見つけることです。方法は様々ですが、1番手っ取り早いのはSNSです。例えば私はTwitterのアカウントを持っておりますが、多くの技術士や技術士を目指す方がいることを知っています。皆さん総じてモチベーションが高いです。

 他にはスキヤキ塾などの受験者や合格者が集まる掲示板を覗くのもいいでしょう。試験に関して同じ悩みを抱えている方から解決のヒントを得たり、年度独特の問題傾向を討論したりなど、直接試験に役立つ情報を得る機会にもなります。

 あとはスマホアプリのStudyplusもお勧めです。フォロワーが増えれば増えるほど、他の方の勉強記録がタイムラインを通して目に飛び込んできます。他人と自分の努力を相対的に評価する機会になり、もっと頑張らなければという気持ちにさせられます。勉強記録を残すことにより達成感を得ることができ、これがモチベーションアップに繋がります

 

目標とすべき人と接する機会を得る

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 技術士二次試験は合格率10%ほどで、正直合格するまで合格出来るかわからない不安な日々を過ごすことになります。そんな中、来年も同じ努力をすることになるかと思うと相当なストレスになります。現に私の知り合いで5年連続で不合格の方がいますが、もし自分が同じ状況になったら正気でいられるかわかりません。それだけ苦しい道のりです。しかしある日、なぜこのような苦しい環境に身を置く方が多いのか、理解できました。それは目標を技術士合格ではなく、技術士として活躍することに変化したからです。きっかけはある技術士の方にあった際に、技術士の科学技術に向き合う姿勢、向上心そして数々の成果を目の当たりにし、私もこの方のように生きたいと思えました。ただ資格をとるだけに比べたらモチベーションもかなり上がります。いまいち技術士受験に明確な動機がない場合は、まず技術士の方と接してみることをお勧めします。もし周りにいない場合は、技術士会に参加することが一番手っ取り早いです。講演会や懇親会へ参加する機会が増えますので、より多くの刺激を受けることでしょう。

 

 未来の自分をイメージする

 技術士になった場合、自分の環境がどのように変わるのか?をイメージします。例えば、

・現在よりも難易度の高い業務へステップアップできる

・職階・年収が上がる

・周りの評価が上がる、褒められる

・人脈が広がる

などです。どれもメリットしかありませんね。先述した通り、こうしたイメージは先入観ではなく技術士の話を聞くことでよりリアルなものになります。またインターネット上に合格体験記なども多く残っています。ぜひ気分転換もかねて情報収集し、未来の自分をイメージしてモチベーションを高めてください。

 まとめ

 上記を通して伝えたかったことは、ただ黙々と勉強するだけでなく、モチベーション維持にリソースをつぎ込むことも立派な試験対策であるということです。常々言いますが、いかに継続して努力出来るか?が合格のカギになります。他にも自分に合ったモチベーション維持の仕方があるかもしれないので、模索し続けると良いでしょう。

 努力し続けることが出来れば、遅かれ早かれ結果はついてきます。頑張りましょう。

 

【機械設計技術者向け】コツコツ努力出来ることは立派な才能

 

 今回は技術士試験に関する話は一切しません。努力と成長をテーマにして記事を書いてみたいと思います。

 

 

 

 

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私が考える努力とは

 私たちの日常において、自身の成長を促す機会というのは沢山あるように思います。それはこのブログでもお伝えしている勉強の他にスポーツ、料理もそうですね。強制されない場面でいかに自分を追い込めるかで、成長の度合いも変わってくるわけです。『強制力が働かない中で目標のために自分を追い込む行為』を私は努力と呼んでいます。

 

私はどちらかというと努力が苦手

 私はどちらかと言うと飽き性で、相当な動機がないと努力が続きません。心の中では(努力せざるを得ない状況になれば良いのに)とか本当は望んでもいないことを思ったりもします。

 だからコツコツ努力できる人が非常に羨ましいです。本当に成功する人というのはそのような人が多いのではないでしょうか。しかし、いくら羨ましがっても私のような人間は真似できません。性格によるものも大きいでしょうしね。

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努力を継続する鍵は、楽しむこと

 私達は目標ができた時、まずその目標までの距離を測ろうとします。それはネガティブな補正も入り、測定不能に感じることもあるでしょう。つまり、最初から達成できないと諦めるのです。とりあえず走ってみたら、ゴールが全く見えないフルマラソンを走る感覚に陥ることもしばしばです。しかし、そのゴールにいつかは辿り着ける、そしてその過程にある成長が楽しいと感じることができれば、気の遠くなる道のりでも走れると思うんです。

 

それでも努力出来るようになりたい

 性格を理由に努力を放棄したくはないですよね。それでは、どうしたら誰でも努力出来るようになるんでしょうか?

 成長を楽しむこと。目標はいつか達成できると信じること。この2つが出来るよう、まずは小さな目標設定からしてみることをお勧めします。

 資格の勉強では、黙々と問題を解いたり暗記するのではなく、定期的に試験問題を解いてみて、点数を記録する。目標点数は毎回設定し、それを目標に勉強を継続する。真面目に取り組んでいれば、着実に合格に近づいていることが実感できるはずです。

 

コツコツ努力出来るのは才能

 例えば勉強においても、毎日休まず30分続けることが出来れば、1年で180時間です。30分という時間はアニメ一本観るのと変わりません。簡単なように思いますが毎日コンディションは異なります。風邪をひいてしまうこともあれば、お酒を飲んで頭が回らないなど沢山のハードルが待ち構えています。それでも誘惑に負けず、続けていける気持ちの強さは、立派な才能だと思います。それが出来ても中々結果が出ないことに焦り、苛立つこともあるでしょう。それでもいつか来る報われる日まで、諦めずに自分を信じて努力を続けて頂きたいです。

技術士取得までに培った、苦手を克服する方法

 皆さんにも苦手なものってありますか?食べ物だったり、スポーツだったり、勉強だったり。仕事でもこの作業が人より遅いとか、ミスが多いとかちょっとネガティブに感じてしまう経験ってありませんでしたか。私はあります。私は複数の仕事を同時にこなすとポカミスが増えます。資格試験でも、範囲が広いと毛色の全く異なる分野が複数あり、得意分野もあればその逆もありますよね。私は機械系で言うと制御が苦手です。しかし、難関資格になるとそんなこと言ってられません。前置きが長くなりましたが、今回は苦手をどうやって克服するか?について記事にしていきたいと思います。

 

  • 1.苦手に感じるってどういうこと?
  • 2.苦手を克服できる人ってどういう人?
    • 2-1.自分を主観的に評価できる人
    • 2-2.困難な道でも継続して努力できる人
    • 2-3.努力が成功に繋がる体験をしたことがある人
  • 3.小さな積み重ねが大きな成功に繋がる
  • 4.まとめ

 

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