30代技術士の成長記録

令和元年度技術士二次試験に合格した30代技術士(機械部門)の成長記録です

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑦

 今回は技術士二次試験の合格体験記第7回になります。少々長くなりますが、筆記試験終了までを一気に書きます。引き続き最後まで目を通していただき、受験勉強の参考にしていただけたら幸いです。

 

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その①

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その②

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その③

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その④

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑤

令和元年度技術士二次試験合格体験記 その⑥

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技術士二次試験一番の危機

 7月上旬、試験まであと10日ほどのところで体に異変が起きた。熱を出した。このタイミングで風邪をひくとはついていない。医者に行く前にあることが気になった。妻から夏になると子供の間で手足口病が流行っているということを耳にした。私には2人の息子がいるが、当時息子たちも立て続けに風邪をひいていた。まだ症状が軽いため医者にいっても普通の風邪だという診断だった。しかし、私の妻は看護師をしており手足口病の可能性があるといっていた。そのことを医者に伝えたが、私もただの風邪だとのこと。とりあえず風邪薬をもらったがいつもより治りが遅かった。

 2、3日したら体調が戻ってきたが、夜寝ていると手に痒みがあった。夏なので蚊に刺されたかと思い、ムヒを塗って放置していたら他のところもかゆくなってきた。よく見ると、4か所ほど赤い斑点が出来ていた。そのとき私は急いで手足口病の症状を調べた。熱が引いた後、手足口に水膨れが出来るようだ。これはもう確信した。次の日すぐに医者に行って症状をみてもらったら、手足口病だと診断を受けた。この時点で金曜日、10日前。1日たっただけでもう手がパンパンにはれ上がっていた。金曜日の時点で当然シャーペンすら持てない状態。とにかく体を休めることにした。

 手足口病の症状は大変しんどかった。しかしそれよりもこの半年の努力がこんな形で無駄になるかもしれないと思うと、正直心が折れそうになった。土曜日、試験前の最後の連休、手がパンパンにはれて、かゆみ止めを塗ってノートが汚れないよう包帯を巻いて机に向かった。はっきり言って練習になってない。字がまともに書けないからだ。経験のある方はわかるかもしれないが、手が晴れると指が関節で曲げられない。そんな状態を見て妻が「それ本当に取らなきゃいけない資格なの?」「別に今までたくさん資格採ってきたし十分頑張った」と言ってくれた。要するにそんな状態で勉強しなくてもいいということが言いたかったらしい。正直私はかなり追い込まれていたというか情緒不安定だった。しかし妻のその言葉で私の気持ちが一気に試験に向いた。なぜかわからないが、それでも受かってやろうとやる気が出た。

 

試験前日まで

 手足口病の症状はだんだん回復に向かっているが、普通の風邪と違って対処療法しかない。とりあえずかゆみ止めを塗るだけで、あとは自分の体に頑張ってもらうしかない。試験前日までは全然勉強できなかった。といっても目と耳は万全なので、なるべくキーワードや論文の暗記や音読、聞き流しを行うことにした。先に言うと、アウトプットの練習はもうできなかった。

 試験前日になると、関節が動くようになってきた。それでもシャーペンを握ると痛い。恐らくこの状態で試験に臨むことになるだろう。そもそも包帯巻いて試験受けても大丈夫か?とか余計な心配までするようになっていた。

 これ以上余計なところで試験の結果に影響を与えないように、万全の準備を整えた。試験当日にやるべきことは以下の記事に詳しく書いたので参考にしていただきたい。

 

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試験当日

 試験当日、忘れ物が無いように最終確認し、試験会場に向かった。遠方の大学が試験会場だったため、電車で向かうことにしていた。遅延などにより試験に遅れないよう、試験開始の1時間半前には会場に到着するよう出発した。

 当日はダイヤの乱れもなく予定通り開始前1時間半前に到着した。7月上旬とあって気温もそこそこ高く、日陰を探して歩き回った。しばらくすると会場には試験会場の案内を配っている方達と遭遇し、自分が試験を受ける部屋の場所が分かったのでそこに向かうことにした。まだ試験開始から1時間以上も前だというのに、多くの人が校舎の中庭のようなところで各々参考書を見たり、音楽を聴いたり、仲間内でしゃべっていたりなどして時間をつぶしていた。私は校舎の中に入れることに気付いたため、誰もいない階段で座り、最後の勉強を始めた。キーワードや予想問題の論文を眺めたりなどしていたと思うが、正直緊張のためかあまり覚えていない。

 そうこうしているうちに、あっという間に試験開始時刻がすぐそこまで迫っており、トイレを済ませ急いで教室に向かった。到着した時から思っていたが、1次試験と同様受験者の年齢層が高い。私の上司やそのまた上司くらいの歳や風格のある方がいた。とりあえず目の前のことに集中し、試験開始時刻を待った。

 

運命の二次筆記試験開始

 1限目は必須Ⅰの3枚論文だ。2時間の所要時間で1800字ほど書く必要がある。問題は2問のうち1つを選択し論文を書くことになっている。

 問題文を見ると、Ⅰー1はものづくりにおける「組み合わせ」から「擦り合わせ」への転換について課題の抽出、分析、それに対する解決策、対策そして技術者倫理、持続時可能性の観点からの意見を述べよという問題。Ⅰ-2はSDGsに関しての機械技術全体の見たときの課題の抽出、解決策、リスクと対策、業務遂行に必要な要件を技術者倫理の観点から述べよという問題。

 私はⅠ-2を選択した。前回の記事で問題を予想した結果はズバリ的中ということだった。SDGsはもうあまりにも周知されていて、殆どの人がⅠ-2で回答したのではないだろうか?ちなみにⅠ-1はものづくり白書にも書かれており、どちらでもよかったが、より話が膨らませそうな方を選んだ。

 SDGs関連は如何に17の達成目標に絡めて解答できるかがカギとなる。私の場合、環境負荷低減に関するものを選んだ。具体的には14の海洋資源で、マイクロプラスチックが起因で海洋用資源にダメージを与えることを問題とし、バイオプラスチックを積極的に利用することを解決策に選んだ。この試験の難所は、課題や解決策が複数必要であるところでバイオプラスチックだけでなくDfEの実施やろ過装置の開発などを解決策として挙げてみた。

 ここまでは順調に進んだが、リスクと対策について上手く文章がつながらない。とりあえず通常のプラスチックに比べ、コストが高く調達しにくい、機能が不十分で置き換えできない可能性があるなどをリスクにした。対策は品質機能展開により、機能、調達性が両立できるよう適切に評価することとした。

 今年からコンピテンシーに関して評価されるようになり、必須Ⅰは最後に技術者倫理に関する問いがある。ここはコストだけでなく環境負荷低減に関する評価項目を追加する。またライフサイクルアセスメントにより全体最適化を図る事。そして共同開発の場合、セキュリティ対策に気を配る事を挙げた。

 最終的に空白行が2行出来てしまったのは、時間配分をミスしたからとやはり手の具合が思わしくなかったからで、内容に関することよりもそれに対しかなり不安を抱いていた。しかし意外とアドレナリンが出まくり、普段ほど病気の影響が出なかったところはよかった。午後に向けて希望が見えた。

 

 昼休み、あまり気分的には優れなかったが、悔やんでも仕方ないのでとりあえず選択Ⅱ-1の対策をすることにした。選択Ⅱ-1はキーワードに関する問題。つまり知識を問う問題だ。4問の中から選ぶことが出来るので、運悪く自分の苦手な問題が出て不合格ということが無いように出来ている。

 

 午後の時間割は選択科目Ⅱ-1、Ⅱ-2、Ⅲをぶっ続けで3時間半の試験だ。先に言っておくと私の選択科目は機械設計である。実はこれ、午前の試験に比べて1枚当たりの論文作成時間が短いことが分かる。午前は3枚を2時間、午後は6枚を3時間半で、同じ枚数に換算しても30分試験時間が短いことが分かる。いかに手を止めずに論文を書き続けるかがカギとなる。

 そうこうしているうちに午後の試験が始まった。試験に区切りがないので、どこから書いてもいいが、とりあえず選択Ⅰ-1から作成することにした。選択Ⅰ-1は30分で1枚600字で仕上げることになる。実はこれ、かなり難しい。何故なら1の中に情報を詰め込むため、余計な情報をいれたり冗長文を入れると点数が稼げない。単なる知識問題ではなく、いかに端的に分かりやすく相手に情報を伝えるかが試される。今年の問題は、以下の4問で

Ⅱ-1ー1品質工学&ロバスト設計

Ⅱ-1ー2 サイズ公差と幾何公差

Ⅱ-1-3 フェイルセーフ

Ⅱ-1-4 設計審査、設計検証、設計の妥当性確認の違い

からⅡ-1ー3フェイルセーフに関して具体的な適用例を示し、考え方と留意点を述べよ。を解答することにした。フェイルセーフは普段の設計でもなじみ深いキーワードで難なくかけた。無励磁作動形ブレーキを昇降クレーンに組み込んだ場合を実例にし説明した。分かりやすいようにクレーンの構成を図示することにした。

 フェイルセーフ設計は故障があっても安全側に作動するように作りこむこととされているが、実際はキーとなる無励磁作動形ブレーキが壊れるなどのリスクが潜んでいる。そこで本質的安全設計の考え方をまず第一に考えるといった感じで留意点と対策を挙げた。例えばカウンターウエイトを付けたり、モーターの出力を押さえるために軽量化を施すなど。ここまでで35分、意外と時間を使った。

 次に選択Ⅱ-1を飛ばしてⅢに入った。Ⅲに関しては以前骨子案の作成で例を出して説明したのでそちらを確認してほしい。結論から言うと、かなり良く書けたと思う。まず高齢化社会に関する論文は想定していたし、そもそも身内が老老介護状態で、私自身色々と普段から考えていたため、問題も当たりだったと思う。

 

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  最後に選択Ⅱ-2だ。なぜ最後に回したかというと、正直2問から選べるといっても、どちらもあまり自信がなかったから。Ⅱ-2-1は機械要素が組み込まれた製品開発とりまとめとして、具体例を出し、機械要素に関して調査・検討すべき事項とその内容、業務手順・留意点・工夫を要する点、業務を効率的に進めるための関係者との調整方策を述べよという問題。Ⅱ-2-2は新製品開発プロジェクトメンバーとして、開発の進め方の調査・検討すべき事項・その内容に関する説明、業務手順の留意点・工夫を要する点と業務を効率的効果的に進めるための関係者との調整方法を述べよという問題だった。

 Ⅱ-2-2はDRがキーワードになってくると思ったが、正直DRは企業ごとにやり方が様々で、私の会社がかなりオリジナリティが強く、一般受けしないことが予想される。すると試験でも大幅な減点のリスクがあるため、Ⅱ-2-1を選択することにした。

 そこで問題となったのは、機械要素について私の記憶が少々怪しいことだ。機械要素は動力伝達要素と流体伝達要素に関して調べることにした。業務の進め方はDRの手順を図示しながら説明した。DRのポイントはいつ・誰と行うかである。製品開発の各フェーズにおいて、然るべきタイミング・人を集めて行うことができているか気を付けるよう記載した。そして市場投入を早め競争力を向上させるためにも、コンカレントエンジニアリング・フロントローディングを推進する。さらに設計の妥当性評価のために品質機能展開を用いて他部署にも情報共有を促す。そしてリスクアセスメント・FMEAにより、関係者が手順に沿って進めやすい手法を導入することを方策とした。

 かなりこじつけもあったが、とりあえず流れに沿って解答できた。それでもあまり自信なし。時間を目一杯使い、試験が終わった。とても疲れた。特に握力がもうないし、今になって手に痛みが襲う。しばらくは治療に専念しないと仕事にも支障が出そう。ただやるだけのことはやったので、結果を待つのみ。

 とその前に再現論文を作るべく、また手を酷使するのであった。

 

その⑧に続く