今年もこの時期がやってきました。もうすぐ技術士二次試験の申込書受付が始まりますね。今年受験される方、準備は進んでいますか。
昨年度は新型コロナの影響もあり、試験日程が大幅に遅れました。まだ口頭試験の合否は出ていませんが、仮に残念ながら不合格だった場合は、すぐに今年の受験準備を進めなくてはなりません。不合格だった理由の一つに、業務経歴や業務内容の詳細について不備があったかもしれません。手応えが怪しかった方は、出来る限り早めに見直しておきたいところです。
以前「受験申込書作成時のポイント」を公開しましたが、詳細について触れていませんでした。今回は特に重要な業務内容の詳細について、具体的な事例を交えてポイントを整理していきたいと思います。
業務内容の詳細とは
技術士二次試験の受験申込書には、自分の業務経歴とそのうちの1つについて720字以内に詳細説明を記入するスペースが設けられています。この経歴書は受験票の発行時に受験要綱を満たしているかどうかの判断材料として、さらに口頭試験において技術士としての適性を判断するために用いられます。
業務経歴は、短文である期間に従事した業務内容を並べるだけですが、業務内容の詳細は如何に技術士にふさわしいかをアピールする目的で小論文を作りこみます。
業務内容の詳細の重要性
業務内容の詳細は、口頭試験において説明を求められることが多いです。完成度が低いと質問攻めにあい、その後の面接で挽回不可能な評価を受けることがあります。口頭試験は基本20分で、この質問が長くなるとコンピテンシーに関する質問が減り、点数が稼げなくなるのです。
業務内容の詳細の書き方
指定の申込書を用いる、文字数を超過しないなど出来て当たり前の点に関しては割愛します。基本的な書き方は参考書を見ていただくとして、作成にあたり守るべきルールとよくある間違いについて以下に纏めてみました。私が合格した際に実践した内容と、受験指導を通して得られたノウハウになりますので参考になるかと思います。
守るべきルール
①章を設け、流れを分かりやすく
私の場合は以下の様な流れで作りこみました。
1.背景
2.立場と役割
3.課題、問題点
4.技術的解決策とその成果
5.現時点での評価と今後の展望
立場と役割は、技術士としてふさわしいものが絶対条件です。作業補助や一担当者とすると、マネジメントやリーダーシップのアピールとしても弱いです。
例)設計責任者として~の***設計を行った。
②短文でつなぎ、冗長文にならないよう気を付ける
720字以内で沢山のアピールが出来るよう工夫しましょう。特に解決策は多くのキーワードが含まれていると良いです。技術士らしさをアピールする最重要ポイントです。
③解決策は自分の考えであることをアピールにする
解決策を書く際は必ず貴方が主体となって考えたことが伝わるような文章にしましょう。例えば「~であると考えた」や「~に着目した」などの表現が望ましいです。
④評価は必ず入れる
成果と今後の展望はかけている人は多いのですが、評価を書けている人は少ないです。必ず次の業務へ応用できるかどうかという視点で自分の考えを纏めましょう。また「その時は思いつかなかったが、こんな解決策も有効だ」などの反省点を記載してもよいです。
よくある間違い
①課題が読み取れない
課題は理想と現実のギャップです。ここが理解できていないもしくは業務内容の詳細で正確に表現できていない場合が多いです。コストダウンであれば、現状のコストから20%削減などですね。工期の短縮なども同じように表現します。
②課題と成果がつながっていない
課題に対してどのような達成状況なのかを必ず書きましょう。課題がコストダウンであれば、コストダウン目標を掲げ、その達成率を成果で表します。
③業務内容が難しくて伝わらない
口頭試験の20分という短い時間の中、相手に内容を理解してもらえない、もしくは質問攻めにあってコンピテンシーを評価してもらう前に時間切れです。
④専門用語を多用する
口頭試験の試験官は、貴方がいつも相手にしている方達とは違います。同じ業界か同じ会社の人にしか伝わらない難解な言い回しや専門用語は使わないよう心がけましょう。コミュニケーションのコンピテンシーを意識出来ているかが確認されます。
⑤ホワイトボードで説明できない
業務内容が言葉での説明が困難な場合、試験官からホワイトボードの使用を促される場合があるようです。可能な限りそうならないよう業務内容の詳細を作りこみたいところです。しかし機械部門は口頭において機械の構造説明が難しいなどの理由から、ホワイトボードの使用率が高いみたいです。そして、それが機械部門の合格率の低さに影響しているとも考えられています。よって業務内容の詳細をホワイトボードを使いながら説明できるかどうかはかなり重要なポイントです。出来る限り簡単な形状か、表現を簡素化できるかどうかという視点で業務内容を選ぶようにしたいです。
最後に
1回で合格したい方は、受験申込書の作成からしっかり受験と向き合う必要があります。申込書は自分のプレゼンテーションに使う大切な資料です。後悔しないよう、満足いくまで推敲しておきたいところです。時間があれば口頭試験の記事も参考に読んでください。