30代技術士の成長記録

令和元年度技術士二次試験に合格した30代技術士(機械部門)の成長記録です

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機械設計技術者試験1級 小論文対策

 機械設計技術者試験まで残り1か月です。私は2年前にこの試験の1級を受験し合格しました。この試験は2、3級で知識を問う問題が多く出題されるのに対し、1級は小論文が全体の3割ほどを占めます(配点はわかりません)。

 小論文は計算問題とは違い、文章力が問われます。計算が苦手な方は、ここで多くの加点をしておきたいところ。逆に計算が得意でも小論文が苦手という方は、人よりも多くの時間をかけて練習しなければなりません。

 機械設計技術者試験は、試験対策に関する情報が本当に少ないです。公式の問題集には小論文の模範解答が載っていません(直近の問題集は見ていないのでわかりません)。よって勉強方法が分からず苦しんでいる方向けに、小論文対策を公開します。1級合格と技術士二次試験合格の経験を元にしていますので、参考になるはずです。是非最後までご覧ください。

 

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小論文は書き始めが重要

 技術士二次試験の対策でもお伝えしましたが、小論文はまず題意に沿った解答が出来るかどうかが重要です。

 例えば少子化対策について論ぜよという問題にもかかわらず、製品設計の効率化について論文を書いていては点数はありません。このように、書き出しは良かったが最終的には的外れな論文を書いてしまうという悩みは、小論文に慣れていない人にありがちです。題意に沿った論文を記述するには、初めから最後まで一貫した主張が必要で、これを成すには論文のアウトラインを最初に作ればいいのです。これを「論文の骨子を作成する」といいます。

 つまり、小論文を書き始める前に骨子を書けるかどうかが加点の分かれ目です。

 

骨子の書き方

 機械設計技術者試験は問題文に対し小問が無いため、自分で骨子の流れを作成しなければなりません。例えば29年度の小論文に「設計着手前の情報収集について」という問題があります。以下問題文です。

 商品、製品設計に当たっては、設計着手前に設計目標と前提条件を明確にしなければならない。設計の後戻りを防ぐには、この設計目標、前提条件といった設計着手前の情報収集とその共有化が重要になってくる。これまでの経験を踏まえて、機能確保に必要な設計着手前の情報収集に際して、どのような方策を実施すべきか、あなたの考えを述べなさい。

 要約すると、効率よく設計を進めるための設計着手前に行う情報収集に関する方策を述べよということですが、大枠は以下のアウトライン

1.はじめに(背景)

2.「設計目標」と「前提条件」

3.設計目標に関する情報収集方策

4.前提条件に関する設計収集方策

5.おわりに

 

骨子の書き方に関しては、技術士二次試験対策でも纏めていますので、そちらも確認ください。 

chuckmechanicalpe.com

 

小論文例

1.はじめに

 顧客に納める製品の設計目標と前提条件を明確にすることは大変重要である。まず設計着手前における上記の情報収集の程度によっては、製品の品質に大きく影響を及ぼし、納期遅れ、最悪の場合取引中止になる可能性さえある。このようなリスクを回避するため、システム作りや業務フロー確立の際に情報収集の為の方策を明確にしておくべきと考える。

2.「設計目標」と「前提条件」

  設計目標とは、満たすべき機械仕様を指す。例えば、タクトタイム、振動値、機械精度などがある。前提条件とは、顧客に納める際に必要な条件を指す。機械設置場所の環境、周りの機械との取り合い、ワークの情報などを指す。

3.設計目標に関する情報収集方策

 標準化されている製品であれば、既存のドキュメント等から機械仕様を調査し、顧客の要求スペック以上かを確認できる。既存仕様は誰でも確認できるよう然るべき社内機関で精査したものを「規格」として社内データベースに登録しておく必要がある。

 新規で開発し、納める場所には競合他社等の製品情報の調査や顧客のニーズを事前に調査し、反映させる必要がある。それからの役割を担うのは営業担当など客先に一番近い者である。しかし、会社の戦略としてどの様な情報を収集するかは、設計や製造等関連部署との連携により決めることが重要だ。よって我々設計者は自発的に情報収集に協力すべきである。

4.前提条件に関する情報収集方策

 前提条件は、従来から取引がありリピート製品であれば「前回と同様」という仕様になるケースがある。それでも前回までの前提条件を把握できていないと、今の条件がリピート製品化かどうかわからない。過去の設計資料と同様に、顧客から頂いた情報はデータベースに登録し、誰でも確認が出来るようにしておくべきである。これをナレッジマネジメントシステム(以下KMS)という。KMSは暗黙知を形式知にするうえで重要な役割を担う。よって、設計者が代わってもスムーズに仕事が進む。

 KMSに登録する内容は、前提情報だけでなく登録者や客先の担当者なども含め、情報に不明瞭な部分がないようにしておく必要がある。

 新規の顧客の場合、営業担当が率先し顧客から情報収集に当たる。設計者は①設計を進める際に必要な情報②顧客特有の前提条件を聞き出すためのアプローチ方法の2点に関して営業担当に伝えることが望ましい。これにはチェックシートなどによって定常化する仕組みが必要だ。メリットとしては、情報伝達の漏れを防いだり、打ち合わせ回数を減らし設計リードタイムの短縮などがある。そして手戻りが発生した際の不要な設計費用を削減することが出来る。

5.おわりに

 以上のように、情報収集は設計の重要な部分を担っていると言っても過言ではない。ただし、設計だけではすべての情報を集約出来ない。顧客との窓口となる営業部や、コスト算出を行う製造部、KMSを管理するソフトウェア開発部等、企業全体で協力し顧客のニーズに応えることが重要である。これにより、顧客のニーズに応えた最良の製品を提供することが出来るだろう。

 

 

お勧めの対策法

 ここまでは基本的な論文の書き方について解説してきました。それも大事なことですが、ここから1か月ほど。対策に十分な時間を使える方ばかりではないでしょう。そのような方向けにお勧めの対策法をお伝えします。

 

事前に論文を作っておく

 機械設計技術者試験1級の小論文は、大体出題パターンが決まっています。特に、技術伝承・人材育成に関する問題は頻出します。(平成21年、23、24、27、28、29、30、令和元年で確認済)

 予め論文を作成し、それを覚える。あとは試験でアウトプットするだけです。多少題意が異なる場合もありますが、それは柔軟に対応する必要があります。逆にそれが出来ないようでは、1級に合格する実力がないということです。

 また、問題は毎年3問の中から選択できます。このうち技術伝承・人材育成に関連する問題がなかった場合に備えて、機械設計者が抱える課題を抽出しておきましょう。例えば、今年は新型コロナウイルスの影響で設計業務の在り方自体を見直す動きが出てきていますね。キーワードは不確実性です。これに対応するためには設計力強化が必要とものづくり白書でも示されています。ものづくり白書に関する説明は以下の記事を読んでください。

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  課題を2つほど抽出したら、技術伝承・人材育成と同様に論文を先に作りこんで暗記します。

 

まとめ

 論文対策としてはまず骨子の作成に慣れること。事前に論文を用意しておくことが重要です。ここまで出来るようになれば、あとは試験問題Ⅰ,Ⅱの対策に時間をつぎ込みましょう。

 機械設計技術者試験1級の小論文対策は、技術士二次試験の筆記試験においても有効です。その逆も同じことが言えます。技術士二次試験の参考書には参考論文がいくつか載っていますので参考にしていただくと良いかもしれません。