今回は機械設計技術者として必要な創造力の鍛え方について記事にします。
1.機械設計技術者に求められる素養
機械設計技術者に必要な素養に『創造力』があります。技術士という括りでも同じことですが、世の中の課題を解決するためには、時に無から有を生み出すことも必要です。しかしそれは膨大な時間をかけて研究の果てに偶然生まれることもあり、目先の要求にこたえるには現実的ではありません。これはシーズ型開発とも呼ばれます。逆にすでに要求相手が明確になっており、QCDなどにおいて詳細な条件が決められているものはニーズ型開発と呼ばれます。ニーズ型はスピード感が大切であり、開発の初期段階からある程度開発技術に目途を立てておかなければなりません。その場合、往々にして既存技術を応用して新しい技術を創造する力が求められます。
といっても、CAD操作のようにマニュアルが存在するわけでもなく、欲しい回答がすぐに得られないことも多いです。なぜなら創造力は生まれ持ったセンスと経験によって発揮されるものだからです。しかし、この記事を見ている方の中に、まだ機械設計技術者として経験不足を痛感している方もおられるでしょう。今回はそんな方にとって役立つ情報を記事にしていきます。
2.創造力は経験に頼らない!
見出しにあるように、創造力は経験に頼らなくても、自身の努力で向上させることができます。簡単にいえば多くの引き出しを作ります。
私の場合、産業機械の自動化に取り組んでいますが、課題解決の一つの手段として、タイトルにもある通りからくり実例集を読み込みました。機械というのは多くの場合電気エネルギーなどを用いて動かします。例えば多くのモーターを使用することは、それだけイニシャルコストとランニングコストが高まります。そこで、昔からからくりのメカニズムを用いられてそのような問題解決を行ってきています。実際既存の機械を見ていると、なるほどなーと感じる機構は、大抵からくりの素となる典型的なメカニズムがベースとなっています。つまり、そのように参考になる機械に出会う、もしくは先輩やお客様に提案されなくても、自分で身に着けることは可能です。
元々リンクやカムなどの知識は持っているという方でも、それをどのように応用するか?という点でスキル不足に感じている方は、是非これを機会に勉強して頂きたいです。
それでは、具体的にどのように勉強すればよいでしょうか?答えはひたすら参考書を読むことです!完璧に覚える必要はありません。なんとなく眺めておくだけで、あとであの機構使えるかも?といった感じで突然ひらめきます。あとは実務でもう一度詳細まで読み込み実用可能かどうか検討するといった流れになります。インプットは広く浅くがポイントです!
3.からくりに関する参考書籍
私が実際に愛用している参考書を公開します。
3-1.必携「からくり設計」メカニズム集定石集 ゼロから始める簡易自動化
3-2.実用メカニズム辞典 機械設計の発想力を鍛える 機構101選