30代技術士の成長記録

令和元年度技術士二次試験に合格した30代技術士(機械部門)の成長記録です

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【機械設計技術者向け】材料知識を身につけて設計効率アップ その②

 前回に続いて機械設計者にとって大変重要な材料知識について記事にします。今回は2回目です。ぜひ最後まで目を通して頂き、ご自身の業務に役立てていただけたら幸いです。

 

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必要な材料知識が何かを知る

 材料知識は主に以下のように分類できます。

機械的性質・・・剛性、強度、靭性、脆性、硬度など

化学的性質・・・耐薬品性、耐食性など

物理的性質・・・密度、導電率、選膨張係数、熱伝導率、磁性など

 

 

 

機械的性質については以下の記事を読んでください。

chuckmechanicalpe.com

化学的性質

 耐薬品性とは、薬品に対する耐久性のことです。薬品の種類はアルカリ、酸、有機、塩などがあり、これらに影響を及ぼされると溶ける、膨張するなど外観に変化が現れます。

 耐薬品性を評価する際に重要なことは、どんな薬品に対して強いのかを確認することです。材料同士を単純に比較することはできません。材料は各々に得意不得意があり、仕様に合わせた材料選択が必要です。

 

 耐食性とは、腐食に対する抵抗力のことです。材料自身とは別の気体や材料と接することで起こる化学反応により腐食つまり錆が発生します。

 腐食の種類には以下が存在します。

・粒間腐食

・局部腐食

・応力腐食

・腐食疲れ

・選択的腐食

 

 通常環境で起こる腐食は、水と酸素が大きく関係します。同じ金属を使うにしても、湿度や酸素濃度により腐食の進行速度は遅くなります。この性質を逆手にとって、錆を嫌う半導体設備などでは酸素を窒素でパージしたり、乾燥空気を機械の中に充填することがあります。

 当然水や酸素以外でも腐食は起こります。例えば塩酸に鉄を入れることで水素を出しながら溶けてしまいます。これも腐食といえます。

 ここでは材料の話になりますので、材料の視点で腐食しやすい材料、しにくい材料を見ていきます。腐食はイオン化傾向によって生じますので、小さいほど腐食しにくいと考えます。

 上から順番に腐食しにくい材料です。空気中でという条件付きですが。

・金

・銀

・ステンレス鋼

・銅

・鉛

・鉄

・亜鉛

・アルミニウム

・マグネシウム

 

 耐食性を向上させる手段の一つに、材料自身に行う表面処理があります。例えば、鉄に対しては無電解ニッケルメッキ、三価クロメート処理、塗装などがあります。価格や性能などを考慮し最適な選択をしましょう。

 上記にも記載したステンレス鋼ですが、ステンレスが腐食に強い理由を簡単に触れていきます。ステンレスがその名の通り錆びないのは、合金の含有元素の中含まれているクロム(Cr)が不動態皮膜を生成し、これが腐食の進行を妨げているからです。不動態皮膜はクロムと酸素が結びつくことで発生するため、特殊な表面処理が必要ないことが分かります。つまり、材料自体が腐食に強い表面処理を自動生成しているということです。他の表面処理は、表面の数μmを傷つけてしまうだけで効果がなくなってしまう一方、ステンレスは傷がついてもその傷の表面を不動態皮膜でコーティングするため、信頼性が非常に高いです。表面処理にかかるコストを抑えられるというメリットも存在します。耐食性を必要とする半導体製造装置にはよく使用されます。

 ステンレスに関する説明は他の記事で記述したいと思いますが、以下の点だけでも理解しておきましょう。

・クロムの含有量によって耐食性が異なる。

・より防錆能力を高めたい場合は、クロム含有量の多い材料(汎用的なところでいうとSUS304)を使用する。