技術士二次試験の勉強においてキーワード学習は誰もが通る道です。しかしその成果は筆記試験において必ずしも現れるわけではありません。何故ならある事に気付かずに勉強を進めてしまっている方が多いためです。今回は、初めて受験する方が陥りやすいキーワード学習の誤解について記事にしていきます。
キーワード学習の罠
技術士二次試験の参考書を読むと、大抵の場合キーワード学習を行う様に書いてあります。初めて勉強する方は、試験の本質を理解する前に、このキーワード学習から取り掛かります。何故なら一般的な試験では暗記系の問題が多く出題されるからです。
暗記系とは、問題文から連想されるキーワードを当てたり、正誤を答えさせる問題の種類を私が勝手にそう呼んでいます。暗記系はキーワード学習をこなせば得点できます。手っ取り早く合格したいから、とりあえず暗記してやろうという気持ちはわかります。しかし技術士二次試験はそう簡単な話ではありません。キーワード学習の先にあるスキルを身に着ける必要があります。ここを理解していない方は間違った勉強方法で本番を迎えて見事撃沈します。多くの資格を取得してきた方たちほどこの罠にかかりやすいと思います。
キーワード学習の目的
貴方が今まで資格試験を受験する際、その資格の意味や定義をどれほど調べましたか。会社から受験を促されてとりあえず受けているパターンだとそんなこと知る由もないでしょう。技術士においてはどうでしょう。技術士とは何か、その資格の意味や定義をきちんと把握できていますか。
技術士は「科学技術に関する技術的専門知識と高等の応用能力及び豊富な実務経験を有し、公益を確保するため、高い技術者倫理を備えた優れた技術者」を認定するための試験です。以下のURLも参考にしてください。
技術士 Professional Engineer とは|公益社団法人 日本技術士会
当然これに則って試験問題が作られます。もっと細かいことを言うと技術士のコンピテンシーが備わっているかという視点で評価されます。
技術士二次試験の筆記試験において
・専門知識
・応用能力
・技術者倫理
この3点が発揮できなければ不合格です。つまり、キーワード学習は専門知識を発揮するためだけでなく、それを応用し倫理的な観点で運用するための土台づくりのために行うのです。覚えて満足しているようでは合格までたどり着けませんね。
成果を試験結果に繋げるためには
仕事をアウトプットの場に使う
応用力や技術者倫理を身につけるには、論文練習のみでは不十分です。いかに2点を発揮するか?を意識して普段から仕事に取り組んでください。これは筆記試験だけでなく口頭試験においても重要です。普段から特に何も考えていないのに、あたかも考えています、意識してますといっても嘘はバレます。面接を続けていくと答えられなくなったり、矛盾をつかれてしまいますからね。技術士にとって大変重要な信用の保持に背く行為です。
キーワードの使い所を知る
仕事と違って筆記試験は圧倒的に時間が足りません。アウトプットの瞬発力を向上させるには、ある程度問題・課題・解決策の流れをパターン化することが望ましいです。コツは文章ではなくキーワードでアウトプットする練習をすることです。覚えようと思ってもパターンが多すぎて結局断念してしまいます。なるべく簡素化しましょう。
私の場合はマトリクス表を使ってある程度暗記していました。引き出しの中身を整理するのと同じです。しまっていたアイテムをいつでも取り出せるようにしておきましょう。
ちなみにこれは仕事においても有効です。顧客との打ち合わせでは、その場ですぐに回答できるほど有能性をアピール出来ます。すぐに答えられないので持ち帰ります、というのはわからないと言っているのと同義です。技術士はコンサルタント資格である事を考慮して試験制度を作っていると言われていますからね。試験時間内にアプトプットが出来ないのはコンサルタントしての資質に欠けていると言えるかもしれません。
白書や専門誌を参考にする
キーワード学習をどの様に進めるかですが、私の場合以下の参考書を読んでいました。
キーワード学習において、応用分野をまとめる必要がある事がわかると思います。白書は親切なことにそこまで書いてある場合が多いです。キーワードを集めるついでにその前後の背景や応用方法をまとめる癖をつけましょう。なぜ白書や専門誌を参考にするかというと、信頼性の問題です。ネットでどなたかがまとめられた情報は、場合によっては間違っていたり古かったりします。技術士として正しい答えを導くなら、その時の最新の情報や相応の機関による信頼性の高い情報をもとに行う必要がありますね。私の分野なら「機械設計」や「ものづくり白書」から応用分野とその方法まで調べます。
最後に
キーワード学習については人それぞれやり方は異なります。しかし目的は同じです。アウトプットのための土台づくりであることを意識して勉強に取り組んでいただけたらと思います。また、キーワード学習は参考書を読んでそのノウハウと習得しましょう。何を纏めればよいのか?この辺り1回の受験で得た私の経験にはない情報が多く詰まっています。